女性が機械設計士になりたい場合に性別を理由に断られる場合があります。
会社は「女性だから採用しません」とおおやけに言う事はありません。しかし詳しく話を聞くと「機械設計の仕事は女性には難しい」と考えている採用担当者もいます。
現在機械設計士として働いているカナさんも転職時に女性だからという理由で面接で落とされたことがあると話されています。
令和のこの時代さえ昭和時代のように性別だけで判断する会社もあります。全ての会社がそうではありませんが中小企業を中心に「機械設計は男の仕事」と考えている会社もあります。
今回は女性が機械設計職として働くための方法と機械設計の職場に男性が多い理由を書きました。実際に機械設計歴18年のカナさんにインタビューも行い設計現場や会社の実情を教えて頂きました。
この記事が機械設計やものづくりをしたいと考えている女性の後押しになってもらえると嬉しいです。
機械設計の職場は女性の割合が20%未満の会社が多い
日本では男女雇用機会均等法という法律があります。この法律では性別を理由とした社員採用の差別を禁止しています。
男女雇用機会均等法では、募集・採用、配置・昇進等の雇用
管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止や婚姻、妊娠・出
産等を理由とする不利益取扱いの禁止等が定められています。出典:厚生労働省 男女雇用機会均等法のあらまし
機械設計職においても当然こちらの法律の対象になりますが実情はそうではありません。先程のカナさんの例のように個人の能力ではなく性別を理由に採用を断られるケースがあるのです。
【女性設計職の割合】
皆さんの会社の女性設計士さんの割合はどの程度ですか?僕の会社は0です。これが悲しい現実
— ドラフター@機械設計者 (@drafter_san) February 28, 2021
ツイッターでアンケートを取ったところ会社での女性設計士の割合は20%未満の会社が全体の80%を占めていました。この結果を見るとまだまだ機械設計の職場は男性が圧倒的に多い事が分かりました。
女性設計士が働くための障害
長時間残業
機械設計の仕事では長時間残業が当たり前の職場もあります。特に現在40代、50代の役職を持っている方たちが若かった頃は長時間残業が当たり前でした。
その影響で一部の職場では残業して当たり前のような空気があります。そうすると若い社員も当然残業時間が多くなりやすいです。
また機械設計の仕事は景気の波や突然の受注で一気に忙しくなることもあります。私も2021年の1月に90時間以上の残業をしました。
長時間残業が当たり前になっている会社は社員が精神的にも肉体的にも疲れています。会社側も当然その状態を承知しています。そのため会社が求める社員像は体力があって長時間労働に耐えられる人になります。
採用する立場からすると男性に比べて女性は体力的には劣ると考え女性の採用を渋ります。
また今の日本においても子育ては女性がする事と考え、子供ができると長時間労働が難しい女性ではなく男性を社員として採用していると考えられます。
機械設計の残業の実態については以下の記事で詳しく書いています。
お客様や製造現場への出張
機械設計の仕事は出張が少ないと考えられがちですがそうではありません。
- 機械の仕様打ち合わせ
- 機械の搬入、据付
- 加工業者様との打ち合わせ
- 機械前後装置の打ち合わせ
- 製造現場との打ち合わせ
機械設計者はお客様や協力会社への出張が多いです。特に中小企業の設計士であれば尚更です。
この時にお客様や製造現場の社員の方の中には威圧的な態度を取ったり、女性の事を見下している人が少数ですがいる場合があります。
そういった人達と対等に話すためには女性ではなく男性の方がいいと考えている人が40代、50代の採用責任者にはいます。そうすると採用時はなるべく男性を採用しようという意識が働いてしまいます。
女性が機械設計として採用されるために
メーカーではなく設計事務所を狙う
機械メーカーと設計事務所の違いは商品にあります。機械メーカーの商品は機械です。設計事務所の商品は図面です。設計事務所は商品が図面なので機械設計士は図面を描く事が仕事の大半です。一方機械メーカーの設計士は図面を描く事の他に電気設計やソフト設計との調整、製造部門とのやり取り、お客様との打ち合わせ等があります。
機械メーカーでも設計事務所でも機械設計の仕事はできます。しかし女性が機械設計士として採用されやすいのは設計事務所です。
設計事務所の仕事の大半は図面を描く事です。一方機械メーカーの場合は図面を描くだけでなく他部門やお客様との調整が機械設計士に求められます。そのために残業時間が多くなりがちになります。
残業時間が多くなると先程お伝えしたように女性の体力面を考慮して採用を渋るケースが増えてしまいます。
設計事務所の場合は1日中図面を描く事が仕事になるので調整業務が少なく時間管理もしやすいです。これが理由となり設計事務所では男女の区別なく個人の能力を見てくれる場合が多いです。
もしも機械メーカーばかり応募して不採用が続く場合は設計事務所で働く事を選択肢に入れてみましょう。
直接応募ではなく転職エージェントを使う
転職エージェントとは、転職を検討している方と採用を考えている企業の間に立って、転職成功を支援するサービスです。求人の紹介や面談の調整など面倒な作業を作業をサポートしてくれるサービスです。
仕事を見つける方法が2つあります。1つが自分で求人を探して応募する直接応募型。もう1つが転職エージェントを使う方法です。
転職エージェントのワークポートを使って転職を成功させた
転職エージェントには自分の事のように話を聞いてくれる人がいる一方でやる気がない人がいるのも事実です。これは個人の相性もあるので自分が合わないなと感じた場合は別のエージェントを利用してみましょう。
カナさんが利用したワークポートは機械設計職を多数持っているので興味がある方は登録してみましょう。
令和の時代は女性が機械設計職として働きやすい
女性設計士は珍しいので興味を持ってくれる
機械設計職は人手不足
機械設計職は常に人手不足です。特に地方の会社や中小企業の会社は募集しても応募してくれる人がいないというのが現状です。私が働いている機械メーカーでも常に機械設計士を募集しています。
そのため男女の区別で採用を渋っている余裕が会社にないのが実情です。
優秀な理系の若者は給料が高いIT業界に目を向けてしまい、ものづくり系の製造業に積極的に応募してくれる人材が少なくなってきています。私も30歳の年収で500万円には届きませんでした。詳しくはこちらの記事を参照して下さい。
そういった状況のため優秀な人であれば老若男女問わず会社は採用したいと考えています。。もし機械設計をしてみたいという方がいればチャレンジしてみましょう
国が女性の採用を後押ししている
厚生労働省では女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした企業にエルボシ認定というのを与えています。
えるぼし認定:一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に認定
○プラチナえるぼし認定:えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定。<令和2年6月~>
認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし」又は「プラチナえるぼし」を商品などに付すことができる。また、プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除される
女性が活躍している企業を厚生労働省が認定をします。認定を受けた企業は女性が活躍している事を社外にアピールでき、優秀な人材の採用や企業のイメージアップにつなげることができます。
国がこのように女性が活躍できる社会づくりに向けて積極的に活動し企業に女性を採用するように求めています。
もしこの記事を読んでくださる方が女性であれば自分が不利だとは思わずに自分は貴重な存在なんだと考えて下さい。
実際に貴重な存在であり企業はあなたの能力を欲しています。ぜひ機械設計の仕事にチャレンジしてみて下さい。
機械設計のやりがいについては以下の記事も参考にしてみて下さい。