車エンジン開発からベンチャー機械開発に転職したエンジニアに話を伺った

今回は建設用3Dプリンタのベンチャー企業であるPolyuse(ポリウス)さんの開発責任者の松下さんにお話しを伺うことができました。

松下さんは大学時代電気・電子工学を勉強されていましたが大学を卒業し本田技研(ホンダ)でエンジンの開発を3年間やられていました。

その後現在の勤務先であるポリウスに転職をした経歴を持つエンジニアです。

大企業とベンチャー企業での機械設計の仕事の違いや現在の仕事内容について教えて頂きました。

ポリウスさんでは2022年現在機械設計職を募集してるので興味のある方はこちらより連絡下さい。

建設材の3Dプリンタを開発できるPolyuse(ポリウス)さん採用ページ

目次

ポリウスの会社概要

ドラフター

ポリウスさんはどんな事をしている会社なんですか?

ポリウス松下

我々は建設用3Dプリンタの開発をしています。建設用といっても家やビルだけを作るのではなく現場で少量生産する部材です。例えば排水用の集水桝やU字側溝です。

ドラフター

ニッチな分野の建設材をターゲットにしてるんですね!家を作ったりはできないのですか?

ポリウス松下

我々も創業初期の頃は住宅や大規模な構造物をターゲットにしていました。しかし住居になると建設基準法をクリアできても長年の慣習をクリアする必要があり、幅広い用途での活用にシフトしました。

技術的には家も作れますし、既に弊社でも建設物として作成しております。

弊社が土木構造物を中心に造形している理由は以下のような理由で部材の中で最も現場導入が必要とされる分野だと考えているからです。

・導入に対するハードル
・複雑な構造を必要とする
・土木部材は種類が無数に存在し、自由形状という面で3Dプリンタに適している

ドラフター

なるほど!
3Dプリンタの得意とするどんな複雑な形状でもアウトプットできる性質を生かした事業を行っているのですね!

ドラフター

ポリウスさんの強みはどんなところにあるんですか?

ポリウス松下

一番の強みは3Dプリンタのハード、ソフト、マテリアル(素材)を全て自社で開発しているところです。

日本ではこの3つを同会社で開発している会社は聞きません。技術的に未開拓な分野なので何社かが協力して開発している事が多いです。

ドラフター

同じ会社でハード、ソフト、マテリアルを開発するメリットは何ですか?

ポリウス松下

スピード感とお客様への提案力です。当たり前ですが建設材3Dプリンタはこの3つがないと機能しないので絶対に必要な要素です。

もし3つ全てが別会社になると開発スピードが遅れますし、お客様への提案スピードと企画力も低下すると思います。お客様の要望に対してハードで答えるのか、それともソフトやマテリアルで対応するのかの選択肢が広がるのが大きなメリットだと思います。

ドラフター

確かにそうですね!

お客様はどんな方法を使うのかには興味がなくて問題を解決する事に価値を感じるので全てを自社内で完結する事ができればお客様の提案に対して即座に機械に反映することができそうですね!

建設用3Dプリンタってどんな機械なのか

Polyuse(ポリウス)_建設用3Dプリンタ
開発中のPolyuse(ポリウス)建設用3Dプリンタ
ドラフター

ポリウスさんの建設用3Dプリンタの特徴は何ですか?

ポリウス松下

私達の3Dプリンタは建設現場で誰でも簡単に使える機械を目指しています。工場に設置するのではなく、建設現場に持っていき、その場で組立し作業者が必要な部材を作ることをコンセプトにしています。

従来であれば必要な型枠を作らなければできない部材を我々の3Dプリンタであればどんな形でも自由自在に作ることができます。

ドラフター

誰でも簡単に使用もできる建設用3Dプリンタがあればとても便利そうです!

よく工事現場で木枠を作り、そこにコンクリートを流し込んでいる姿を見かけますがそういった工法から代替できそうですね。

ポリウス松下

ドラフターさんの仰るように現在の工法からの変更という考え方もありますが我々としては新しい価値の提供と考えています。

現在の型枠施工での打設は、四角形状の部材を打設するのに適しています。また、プレキャストは、大量生産に適しております。

ただ課題点としては複数の職人さんの存在が不可欠だったり、道具・資材を必要とする事、複雑な形状の作成が困難な事です。

ドラフター

複雑な形状とは?

ポリウス松下

例えば道路の路面排水のために使用される側溝という構造材があるのですが、これは均一でシンプルな形が多いんです。なぜならばそちらの方がコストが小さく製作できるから。

しかし側溝の機能面で考えると、「もっとこういった形になれば排水がしやすかったり、逆に効率よくせき止める事ができる」という想いを抱えている土木技術者もいるんです。だけどコスト面や技術面でできなかったりする。

こういった事を解決できるのが我々の3Dプリンタだと考えています。

ドラフター

なるほど!

それはNCの工作機械に似てますね。昔は飛行機のプロペラを作る場合は板金を折り曲げていたけどNCの工作機械、特に5軸のマシニングセンターが登場し、より複雑な形状でも簡単に製作できるようになった。

ポリウス松下

イメージはそのような感じです!

ベンチャー企業での機械設計者の仕事

ドラフター

松下さんのポリウスでの仕事内容を教えて頂けますか?

ポリウス松下

ポリウスではハードウェア領域、マテリアル領域、ソフトウェア領域、ファームウェア領域に担当者がいて私はハードウェア領域の責任者です。

少人数で概念設計、機械設計、試作、評価をやっています。何人か大学生のインターンの方が来て頂いているのでその方達とも協力してやっています。

ドラフター

全部一人でやっているのですね!ともて大変そうですが楽しそうだなと感じます!

ポリウス松下

もちろん大変ですが楽しいですよ!

ものづくりの醍醐味を120%感じてます(笑)

なんせ今までに世の中にない機械なので文献やネット情報が皆無なのでアイディアを出して、試作、検証の繰り返しになります。

自身でPDCAを回して新しいものづくりにチャレンジしたいという機械設計・開発エンジニアを探しています。

ポリウスさん機械設計者の募集要項

ドラフター

1人だと息も詰まる事があるし、できる事が限られますもんね。

同じ設計者としてはポリウスさんの仕事は楽しそうだなと感じました。スピード感を持って仕事ができるので自分のアイディアをすぐに実現できそうですね!

ポリウス松下

それはお約束できますね!

私も前職は大企業に勤めていましたがその時のスピードとはまるっきり違います。ベンチャーはスピードが命なので、最速でPDCAを回す人材を求めています。

本田技研でのエンジン開発の経験

ドラフター

松下さんは前職ではどのようなお仕事をされていたんですか?

ポリウス松下

私は本田技研(ホンダ)でエンジンの開発を約3年間やっていました!

ドラフター

日本を代表するメーカーでエンジンの開発をされていたんですね!
お仕事は楽しかったですか?

ポリウス松下

仕事は楽しかったですよ!大学時代からエンジンいじりが好きでしたのでエンジンに興味がありました。

だってエンジンって機械の最高峰じゃないですか。材料力学、機械力学、流体力学、熱力学を全て使い、ちょっとした変化で性能が大きく変わる。こんな面白い機械なかなかないです。

だから大学時代は電気・電子工学を専攻していたのですがホンダに入社してエンジン開発を志望しました。

ドラフター

たしかにエンジンって見てるだけで美しさやカッコ良さを感じられる機械ですよね!

そんな楽しいエンジン開発の仕事を何で辞めたのですか?

ポリウス松下

私としては会社に対して大きな不満はありませんでした。しかし世の中の流れがエンジンではなくEV車に変ろうとしていました。

私が在籍していた部署も今後のEVへの移行を見据えた開発体制に移行していきました。

そのため入社して3年が経ったころ転職を考えました。

そのタイミングでポリウスに声を掛けてもらい、面白そうだなと感じたので入社する事にしました。

ドラフター

世の中の流れで1技術が縮小されたり、なくなってしまうのは悲しい事ではありますが仕方がない事ですよね。

ホンダさんで働いて良かった事は何ですか?

ポリウス松下

良かった事はたくさんありますが一番は素晴らしい技術やスキルを持った人と一緒に働けたことじゃないでしょうか。

ホンダはF1やMotoGPにも参戦していた事もあり世界でもトップを争うエンジン開発技術を持っています。その最前線で仕事を数十年とやってきたエンジニアと一緒に働かせてもらい勉強できたことが一番よかった事だと思います。

何か分からない事があっても社内に誰かしら答え、もしくはヒントを持っている人がいるというのは恵まれた仕事環境でした。

大企業とベンチャー企業での機械設計の仕事の違い

ドラフター

ホンダさんと現在働いているポリウスさんでの仕事のやり方の違いはありますか?

ポリウス松下

大手企業では、1つのプロジェクトについて多くの人が関わり、課題を細分化し分担して開発を行っていますが、ベンチャーである弊社では、少人数精鋭のチームで概念設計、機械設計、試作、評価まで一貫して開発を行っています。

世の中にない全く新しい事をやるベンチャー企業なので社内に文献がないんですよね。ホンダだと歴史がある会社なので今までの技術の蓄積がある。だけど今は0からのスタートなので全ての事を検証しないといけない。これも大きな違いですね。

ドラフター

なるほど!新しい事をやるから図面も設計検討書も何もない状態からスタートですもんね。

今3Dプリンターの開発をされていて技術的にどんな事が難しいんでしょうか?

ポリウス松下

一番は材料の管理ですね。材料はモルタルといってコンクリートと同じような材料を使うのですが適切な状態管理、具体的には温度や粘度を保ちながら3Dプリンタのヘッドから吐出させてあげないといけない。これが難しいですね。材料がしゃばしゃばだと固まらないし、ドロドロだとノズルで詰まってしまう。こういったところで苦労しています。

あとは3Dプリンタの設置環境ですね。外でも使える事を想定しているので泥や雨にも対応しないといけない。これはかなり大変で四苦八苦しながら開発しています(笑)

ドラフター

まるで重機の設計をしているようですね!

ポリウスで働く最大のメリットはエンジニアの成長

Polyuse(ポリウス)_社内風景
社内の開発風景
ドラフター

現在機械設計者を募集中という事でしたがどんな人と松下さんは働きたいですか?

ポリウス松下

一番はものづくりが好きな人がいいですね。心からものづくりが好きで自分で率先して動いてくれる人と働きたいです!

ベンチャー企業なのでどうしてもやる事が多岐に渡ります。大企業のように仕様書を書いているだけ、図面を描いているだけではポリウスでは難しいと思います。

自分の手を動かし建設用3Dプリンタの開発を進めていかないといけないのでものづくりに関わることは何でもやるんだ!という気概を持っている人だと私は嬉しいです!

ドラフター

逆に言えばものづくりの工程を全て経験したいとにはもってこいの職場ですね!

ポリウス松下

その通りだと思います!

自分で全てをやりたい人にはポリウスは最高の環境だと思います。その過程でエンジニアとしてのスキルも必ず上がるので自分を成長させていきたいと考えている方にはもってこいですね。

妙なしがらみとかは一切ない会社なのでエンジニア業務に100%集中できると思います。

ポリウスの機械設計職応募方法はこちら

建設材の3Dプリンタを開発できるPolyuse(ポリウス)さん採用ページ

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