【機械設計がつまらないと思う方へ】機械メーカー技術者が伝える楽しいと思えるコツ

機械設計1年目や2年目は仕事が面白くないと言っていいでしょう。

なぜならば入社1年目の新入社員に機械の根幹をなす部分の設計業務をやらせる会社はほぼないからです。

機械設計の仕事はやりがいがあり世の中に貢献できる楽しい仕事です。

機械設計のやりがいについてはこちらの記事でもたくさん書きました。

[box06 title=”あわせて読みたい”]自分が設計した物が世の中で使われる面白さ[/box06]

しかし会社によっては1年目はCADに触れずに現場で研修ばかりという会社もあるでしょう。

機械設計の仕事をやらせてもらえずだんだんと仕事が嫌になっていく若手設計者は多いです。

今回の記事では機械設計4年目の私の経験も踏まえて機械設計の仕事が楽しくなっていくコツをお伝えします。

一番仕事が楽しくなるコツは現在の機械の問題点や改善点を探し出して上司に提案をする事です。

簡単な事ではありませんがこれができるだけで仕事がゲームの様に思えてきて面白くなっていきます。

ではまず、機械設計の仕事がつまらいと思ってしまう理由について考えてみます。

目次

機械設計の仕事がつまらないと感じる理由

新入社員や若手社員が機械設計の仕事をつまらないと感じる理由は以下の2つではないでしょうか。

  • 機械設計職なのに設計をしていない
  • 機械設計の仕事内容が難し過ぎて理解できない

機械設計職なのに設計をしていない

機械設計職で採用され設計部や技術部、開発部に配属されてすぐに機械の設計ができると思っている方は多いのではないでしょうか。

実際には機械メーカーに入社後すぐ図面を描かせてもらえるケースはほぼありません。

まずは製造現場で組立研修等の現場実習を数カ月から長い場合で1年やります。

現場研修後、デスクに座ってCADを使い設計するのかと言えばそうでもありません。

まずは先輩社員にマンツーマンで指導してもらいながら先輩の仕事のお手伝いをします。

いわゆるOJTと呼ばれるものです。

OJTとは、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対し具体的な仕事を与えて、その仕事を通して、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを意図的・計画的・継続的に指導し、修得させることによって全体的な業務処理能力や力量を育成する活動である。

出典:ウィキペディア(Wikipedia)

会社によってはOJTを計画的、継続的に行い、成果がでているか面談する会社もあります。

私の部署の場合はそういった雰囲気はなく、上司から「あの人に仕事教えてもらって」と一言言われただけでした。

それから私は毎日、先輩の横につき先輩の仕事のお手伝いをしていました。

  • 機械のテストの準備
  • 書類のまとめ
  • 古い手書き図面のCAD化

主にこのような作業をしました。

機械設計1年目の私はこういった作業ばかりで簡単な部品の設計さえやりませんでした。

私が新規で描いた図面は1枚もありませんでした。

この状況は私が特別に仕事ができないからでなく、同期達も同じような内容でした。

机に座っているよりは現場で機械の調整や片づけを手伝わせてもらう事が多かったです。

機械設計職なのに図面を描けない日々から機械設計なんてつまらない、楽しくないと感じてしまう日々でした。

機械設計の仕事内容が難し過ぎて理解できない

私は大学で機械を専攻していたので比較的、自分の業務内容も理解できました。

しかし大学での専攻が機械ではなく化学や情報を専攻している同期は「先輩達が言っている内容が全く理解できない」といつも言っていました。

例えば先輩に「タップ持って来て」と言われてもタップがどんな道具か知らないので「タップって何ですか?」と聞くところから始まります。

先輩の手を止めてしまうのでなかなか聞きづらい状況にもなり仕事が嫌になって最終的に1年目で辞めてしまう同期もいました。

機械を高校、専門学校、大学で全く勉強せずに機械メーカーに入社した人達にとっては日々分からい言葉が飛び交う職場はしんどいです。

そういった方達はまず機械の常識について学ぶ事を始めるのが良いです。

おすすめは実際の設計シリーズです。

この本は機械設計の業務で必要な知識を体系的に学べる本です。

もし機械の知識が全くない方はこの本を読んでみる事をおすすめします。

 

実際の設計 改訂新版-機械設計の考え方と方法- (実際の設計選書)

 

 

続・実際の設計 改訂新版 機械設計に必要な知識とモデル (実際の設計選書)

 

機械の図面が読めない、機械設計の進め方が分からない方に向けた本を以下の記事で紹介していますのでこちらも参考にして下さい。

[box06 title=”あわせて読みたい”]【機械設計のおすすめ本紹介】実務で役に立つ参考書[/box06]

新卒1年目はみんな機械設計はやらせてもらえない

私は機械設計1年目の時、設計業務をやらせてもらえませんでした。

しかしこれは私の経験なので他の会社や設計士さん達は機械設計業務を1年目からこなしていたんではないかと思いツイッターで質問をしてみました。

このように質問をしたら多くの設計者さんが答えてくれました。

社会人1年目の場合ほとんどの方は機械設計をバリバリやるのではなく現場での作業が多い回答でした。

  • 機械加工
  • 試験や検証
  • 組立補助
  • 検品作業

しかし一部の方は1年目から機械設計をさせてもらえる環境にいたようです。

大変羨ましい環境ですがこれは会社やその時の部署によりけりなので自分ではコントロールできません。

多くの設計者は1年目は設計作業をしていませんでした。

ですので今、メーカーや設計事務所に入ったのに全然設計させてもらえないとモヤモヤした気持ちでいる方もこれが普通なんだと考えて下さい。

機械設計1年目で仕事の面白さに気づいた私の経験

私も上記のように図面を1枚も描かない機械設計1年目でした。

日々つまらないな、早く仕事終わらないかなと考える事が多かったです。

しかしある出張を境につまらない仕事の日々が楽しく、充実する日々に変わりました。

その出張の詳細については別記事で書きます。

出張内容はある機械の故障原因を調べる事でした。

その出張に新入社員の私と勤続40年以上の大ベテラン2名の3人で行きました。

一週間以上3人で機械を調査し、ようやく機械の故障原因を突き止めたのはベテラン社員ではなく新卒の私でした。

それは偶然ではなく自分なりに機械を観察し、図面を見て考え、仕事が終わってからもホテルで考え続けた結果でした。

ひたすら考え、仮説を立て、治具を考案した結果ベテラン社員でも見つけられなかった故障の発生原因を突き止める事ができました。

私はこの経験で機械メーカー技術者として働く面白さを発見できました。

機械設計の面白さ

私が機械設計職の面白さを味わう事ができたのは機械を観察し自分なりに仮説を作りその仮説が当たっているのかを検証したからでした。

機械設計者を含む技術職の面白さは

  1. 仮説を立てる
  2. 検証をする
  3. 間違っていたら再度仮説を立て検証をする

この3つを繰り返す事で製品またはサービスが向上されるのが面白いです。

いわゆるPDCAを回す事の楽しさです。

これを機械設計に当てはめると以下の流れがPDCAを回す事になります。

  1. 仕様書もしくは課題がある
  2. 仮説を立てる=図面を描く
  3. 検証=機械の性能評価をする

この3つを自分でできれば機械設計は面白くなりますが新入社員や若手社員、転職してきて日が浅い場合はこの仕事を任せられる場面はほとんどないはずです。

なぜならば図面を描いて機械を作る事は時間もお金も掛かり失敗すれば大きな損失になるからです。

そのため信頼をある程度得るまでは機械設計をさせてもらえません。

では信頼を得るまでには機械設計という面白い仕事をさせてもらえないのかと言えばそうではありません。

現在の機械の問題点や改善点を探してみる

「現在の機械の問題点や改善点を探す」

この作業が仕事を面白くさせるファーストステップです。

ひたすらに問題点や改善点を書き出していきます。

記録として残した方がよいのでノートではなくエクセルにまとめるのがおすすめです。

もし問題点や改善点が1つも見つけられないのであればそれは機械への観察不足です。

  • 機械の動いている様子
  • 図面
  • 写真
  • 動画
  • 取扱説明書

これらを真剣に観察すればすぐに10個は改善点が見つかります。

改善点を探す上で意識する事は以下の事です。

  • 機能面=装置スピード、歩留まり率
  • 操作性=ユーザーの使いやすさ
  • 安全性=ユーザーが安全に使用できるか
  • 外観性=見た目や色味
  • コスト面=部品の価格。組立性

例えば私が自宅で使用しているドラム式洗濯機の改善点をあげてみます。

課題出し

ここで大切なのが「これはそういもの」という発想は捨てる事です。

例えばドラム式洗濯機の改善点No.6で音がうるさいと書きました。

音がうるさいのは洗濯機であればモータが回っているのでうるさくて当然と思う人もいるでしょう。そういった考えは捨てます。

「この機械はこれが当たり前」と考えているようであれば改善点を出すことができません。

もっと言えば技術者としても失格です。

そういった考えの技術者は成功を収める事ができないので別の道に進む事をおすすめします。

改善点を書き出せたら次のステップに進みます。

改善点を上司や先輩に提案し図面を描く

改善点を書き出せたらそれをまとめたものを上司や先輩に見せます。

この時のポイントを2つお伝えします。

提案ではなく機械の事を聞きにいく姿勢

1つ目のポイントは上司や先輩に提案をするのではなく機械の事を聞きに行く姿勢で問題点や改善点を見せます。

提案するという姿勢だと上からの立場になり場合によっては気を悪くする方もいるからです。

考えてみましょう。

自分が設計した機械の問題点や改善点を部下や後輩に言われるのは設計者としていい気はしません。

そのため提案というよりは”私は機械の事を詳しく分からないんですけどこういった改善をしたらもっと良くなると思ったのですがどう思われますか?”のようにあくまで下からの姿勢を崩してはいけません。

自分が見つけたと思った改善点が実は機械としてものすごく重要な役割をしているケースもあります。

それを知らないだけかも知れません。

機械の事に詳しくなるという意味でも自分が作った改善点リストを見せる事は大切です。

自分なりの案を持っておく

改善点を見せる時のポイントの2つ目は自分の案を持っておく点です。

機械の改善点や問題点を見つける作業も機械設計の1歩目として楽しい作業です。

それをより楽しくさせるのが改善点に対する具体案を持っておくことです。

例えば現場で機械の組み立てをしていた時に組立がとてもやりづらい箇所があったとします。

その時に改善点を書くだけではなくどうやったら組立しやすくなるかの案も考えておくと良いです。

具体的にというのはこの場合、図面を描くという事です。

新入社員や若手社員であっても1人1台パソコンとCADは支給されているはずです。

それを使い自分なりの案を図面に落とし込んでいきます。

その時にびっくりするくらいの充実感を感じるはずです。

今までの言われたことをやってきた仕事ではなく頭を使い自分なりの案を作りだす仕事だからです。

私は今でもこの作業をやりますがこの時間はご飯を忘れてしまうほど楽しい作業です。

アイディアがでてこなくてしんどい時も多々ありますが本を見たり、先輩にアドバイスを聞く事で一歩一歩進んでいく楽しさがあります。

もし機械のアイディアが全くでてこない方は以下の本を参考にしてみて下さい。

実用メカニズム事典:機械設計の発想力を鍛える機構101選

 

この本は自分が必要としている目的から機構を探し出せるのでアイディア集としてもってこいです。

自分なりの案を考えたらそれも改善点リストと一緒に上司に提出しましょう。

「私なりの案を考えたので見ていただけませんか?」と上司にお願いをすればほとんどの上司は目を通してくれるはずです。

そして運がよければ上司から「じゃあ君の案を試してみるか?設計してくれるか?」と声を掛けてくれる場合があります。

そうすれば念願の設計業務ができます。

本当に楽しくない仕事であれば転職する

ここまで機械設計の仕事が楽しくなるコツをお伝えしてきましたが職場によっては自分がどんなに努力しても楽しくならない職場もあります。

  • 上司がポンコツすぎる
  • 人間関係がどうしても上手くいかない
  • そもそも機械に興味が湧かない

人それぞれ楽しくない理由があるはずです。

個人の努力では変えられない場合は現在の職場にとどまるのではなく転職をする事をおすすめします。

会社や仕事内容の愚痴を言っていても99%変わりません。

会社の環境というのは1人の力ではそう簡単に変わらないからです。そ

れであれば自分で自分の環境を変える方がよっぽど楽です。

まずは転職活動をしてみてはどうでしょうか?

転職活動は全て無料で行うことができます。

転職活動のやり方とオススメ転職エージェントは以下の記事に書いています。

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またこちらの記事では年収も比較的高く安定度もある医薬業界の技術者として働く方法も紹介しています。

気になる方がいれば読んでみて下さい。

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