この記事では技術士一次試験基礎科目と適正科目に合格するための勉強方法と参考書を紹介します。
私は2021年に技術士一次試験を受験しました。
その時の経験を踏まえてどのように勉強していけば合格できるかを解説します。
受験者の方が効率よく勉強できる手助けになればよいと思い執筆しました。
機械部門の専門科目の勉強方法についてはこちらで解説しています。
[box06 title=”あわせて読みたい”]技術士第一次試験、機械部門の専門科目に合格するための勉強方法[/box06]基礎科目の勉強方法
基礎科目で出題される問題
技術士一次試験の基礎科目は5つの分野に分かれており、各分野6問出題されその内の3問を選びます。
出題される分野は以下の5つです。
- 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
- 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
- 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
- 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
- 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
これらの分野は具体的にどんな内容が出題されるかをもう少し解説します。
どんな内容が出題されるかを知っておいた方が後の勉強もしやすいです。
設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
設計・計画に関する分野の主な出題内容はこちらです。
- 信頼度の計算
- コストを求める計算
- 設計理論
- 品質管理
信頼度の計算やコストを求める問題は知っていれば簡単に答えにたどり着きます。
設計理論や品質管理も過去問を勉強しておけばできる問題がほとんどですのでこの分野は確実に点を取っておきたいです。
情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
情報・論理に関する分野の主な出題内容はこちらです。
- アルゴリズム
- 基数変換(2進数、10進数、16進数)
- 情報量計算(バイト、ビット計算)
- 情報ネットワーク知識
この内アルゴリズムは地頭が問われる問題で、勉強が得意な人にとっては簡単に点を取ることができますが苦手な人にとっては難しいです。
逆に基数変換や情報量計算は知っていれば簡単に点がとれる内容なのでこれらの問題が出題されたら絶対に点を落とさないように勉強しておきましょう。
解析に関するもの(力学、電磁気学等)
解析に関する分野の主な出題内容はこちらです。
- 材料力学
- 数学(微分、積分、行列)
- 有限要素法
- 熱力学、流体力学
この範囲は数学や工学の問題が出題されます。
そのため専門科目で工学系(機械、電気・電子、建築)以外の方にとっては難しい内容かもしれません。
ただし数学分野については毎年似たような問題が出題されているので数学分野だけは勉強しておいた方がよいです。
その他の分野は苦手な人は捨ててもいい分野の1つです。
材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
材料・化学・バイオに関する分野の主な出題内容はこちらです。
- 材料
- 化学
- バイオテクノロジー
この分野も専門外の人にとっては難しい分野です。
私が受験した分野は機械だったのでこの分野は全て捨てました。
しかし化学が苦手な人でも材料だけは点が取れる事があるので「私には無理」と思わずに一度過去問の解説を読んでできそうだったら勉強してみた方がよいです。
環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
環境・エネルギー・技術に関する分野の主な出題内容はこちらです。
- エネルギー
- 環境
- 技術史
この問題は一見難しく感じますが過去問から出題される事が大半ですのでしっかりと過去問を学習していれば点を取ることができます。
まずは過去問を数年分解いてみる
上記で出題内容がだいたい分かったら過去問を数年分解いてみましょう。
過去問は技術士会のホームページに無料で掲載されています。
もしくは過去問集を買ってそちらで勉強しましょう。
技術士一次試験を受験すると決めている方は過去問題を購入しておいた方がよいです。
なぜなら技術士会のホームページには問題と正答は掲載されていますが解説は全くないので、問題の難しさや解き方を一切把握できないからです。
過去問集には解説がのっていますので2千円程度のお金がもったいないと感じる方やまだ受験するか決めていない方以外は購入しておきましょう。
ちなみに私はこちらの過去問集を使っていました。
過去問数年分解いてみて自分が今、どの分野はどれくらいできるかを把握しておきます。
この段階で合格点が取れている方は基礎科目の勉強はせず、適正科目と専門科目の勉強に充てましょう。
自分が得意な分野と苦手な分野を絞る
過去問を数年分解いた後は自分が得意な分野と苦手な分野に分けましょう。
基礎科目は各分野6問出題されその内の3問を選び、合計15問を選びます。
15問の内8問正解できれば合格ですので苦手な分野については捨ててもいいと思います。
例えば機械系や電気系、建築系の方であれば「材料・化学・バイオ」分野は捨てるという選択です。
私も「材料・化学・バイオ」分野は苦手だったので一切勉強しませんでした。
その分他の分野の勉強や専門科目の勉強に時間を使いました。
自分の苦手な分野は一切勉強しないという選択をしても十分合格は可能ですので自分に合った勉強配分を考えてみましょう。
ただしどの分野も問題のレベルは高校範囲もしくは大学初歩のレベルですのできちんと勉強すれば点はとることができます。
解説を読んでみて「ちょっと勉強したら解ける」と思えたら勉強してみた方がいいでしょう。
過去問集を使ってできるまで問題を解く
過去問を解いたら、過去問集を使ってひたすら問題を解いていくのがよいでしょう。
自分のできない問題を解説を読みながら「絶対に解ける!」と自信が言えるまでやり込めば合格することができます。
私は過去7年間分についてやりこみました。
使っていた過去問集は「技術士教科書 技術士 第一次試験問題集 基礎・適性科目パーフェクト」です。
過去問集については何冊か販売されているので本屋さんやネットで手に取り、自分にあったものを一冊購入しやりこんでいけばいいです。
適性科目の勉強方法
適正科目で出題される内容
適正科目で出題される内容は基礎科目や専門科目で問わるような知識ではありません。
技術者としての常識を問題にしています。
技術者の常識とは技術士法第4章(技術士等の義務)の規定を守れる人かどうかの適正があるかどうかです。
適正科目の多くは社会常識で答えることができる問題がほとんどです。
そのため勉強に多くの時間を掛けていてはもったいないです。
適正科目に時間を掛けるのではなく、基礎科目・専門科目の勉強に時間が取れるようにこれから、適正科目の勉強のやり方について説明します。
まずは過去問を数年分解いてみる
これは基礎科目と同様ですがまずは過去問数年分を解いてみましょう。
自分が今どれくらいできるのかを把握するためです。
人によってはこの段階で合格点である8点以上を取れる人もいると思います。
合格点ギリギリでは不安ですが数年やってほぼ満点を取れる方であれば適正科目の勉強は不要なので他の勉強に時間を充てましょう。
過去問についてはこちらの技術士協会のホームページから問題と正答を見ることができます。
もしくは技術士一次試験の過去問集を買ってそちらで過去問を解きましょう。
販売されているほぼ全ての過去問集は基礎科目と適正科目がセットになっていますのでこの1冊を買えば両方の過去問と解説を手に入れることができます。
価格も2,000円程ですので買っておくことをオススメします。
過去問でできなかった問題をひたすら解く
過去問を解き終えたら過去問で解くことができなかった問題をひたすら解いていきましょう。
適正科目は常識問題と最初に述べましたが知っていれば解ける問題も多くあります。
後述の勉強のポイントで紹介する以下の事については知っていれば簡単です。
- 技術士関連法
- 関連法令
- 技術者の倫理
適正科目の勉強でここだけは抑えておけ
適正科目は常識問題とこれまで伝えてきました。
皆さんのこれまでの学生・社会人経験である程度解くことができますが以下のポイントを押さえておくとさらに点が取りやすいです。
そのポイントは以下の3つです。
- 技術士関連法
- 関連法令
- 技術者の倫理
技術士関連法
技術士関連法は毎年必ず1題は出題されています。
技術士法に記載のある「技術士等に課せられる3つの義務と2つの責務」について問われます。
常識でも答える事はできますが過去問を使って勉強しておけば必ず点が取れる範囲ですのでしっかりと頭に入れておきましょう。
関連法令
関連法令はものづくりに関する事や働き方に関する法令について出題されます。
最近では以下の法令が出題されています。
- 製造物責任法
- 公益通報者保護法
- 個人情報保護法
- 育児・介護休業法
これらの法令をわざわざ調べて暗記をしておく必要は全くありません。
過去問でしっかりと勉強しておけばそれで十分です。
技術者の倫理
技術者としての倫理判断を問われる問題が毎年1問程度出題されます。
この分野も勉強は難しいですが以下の文書をサラッと眺めておけば十分です。
オススメテキストは基礎科目と適性科目がセットになっているもの
技術士一次試験基礎科目と適正科目のテキストは過去問集を1冊買っておけば十分だと私は思います。
過去問集には解説も書いてあるので過去問集をやってできない問題をひたすらできるようにすれば合格することができます。
私が使用していた問題集は「技術士教科書 技術士 第一次試験問題集 基礎・適性科目パーフェクト」です。
こちらは基礎科目と適正科目がセットになっているのでこの1冊があれば基礎科目と適正科目を網羅することができます。
年度別の分類分けになっていて「平成19年度~令和2年度」までの計15回分の過去問題を手にする事ができます。
ただし書籍本体への収録は平成26年度~令和2年度の7回分で平成19年度~平成25年度の7回分および令和元年度再試験はWebからダウンロードする形になっています。
収録年数も多く大変おススメですがこの問題集の弱点が解説の少なさです。
そのためこの問題集を使って解説が少ないと私と同様に感じた方は同じ出版社から販売されている「技術士教科書 技術士 第一次試験 出るとこだけ! 基礎・適性科目の要点整理」で補うのがよいです。
「問われるポイント」「覚えるべき用語や公式」を絞り込みされているので効率よく確実に合格への力をつけることができます。
Amazonで評価が高いテキスト
私は使用していませんがAmazonでの評価が高いテキストを紹介します。
どのテキストを使用しても大差はないと私自身は感じています。
ご自身に合う過去問集を使って勉強してみて下さい。
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