【機械設計志望者必見】職場でついていけない状況にならないためにやるべき事

これから機械設計者になる学生さんや未経験の方は何を勉強すれば分からないと思います。

私も機械設計職で採用された学生時代、仕事に就くまでに何を勉強すればいいのか分かりませんでした。

2022年で機械設計職として働いて5年が経過し、機械設計をする前にこれだけは勉強しておけば良かったなと思う事を書きました。

結論として以下のものをやっておけば間違いありません。

・製図
・材料力学
・CAD

この記事に書いてある事を実践して頂き、機械設計職としてスムーズな働き始めにして頂きたいです。

目次

機械設計の最低限知識を身につける

製図

機械設計をする上で絶対に必要な知識は製図です。

製図とは図面を読める、描ける事を指します。

設計者で図面が読めなければ仕事にならないので最低限、図面は読めるようにしましょう。

図面が読めるとは図面を見た時に

  • どんな形のものか
  • どんな加工がされているか

この2点が分かれば大丈夫です。

形状把握は2D図面から3Dの立体物がイメージできる事が大切です。

日本では3DCADが当たり前に使われるようになってきましたが2D図面がなくなったわけではありません。

部品を加工するための図面は2D図面が使われれます。

2D図面の方が一枚の図面に多くの情報を記入できるため加工図面の99%は2Dで描かれています。

機械設計者であれば会社にある既存の2D図面を読む、自分で部品図を描くのが当たり前なので今の内に勉強します。

勉強方法としては本を使って勉強するのが1番効率がよいです。

オススメの本はこちらです。

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この本は製図に関する基礎知識が網羅されておりこの一冊あれば機械設計初心者が必要とする知識は網羅できます。

現役の設計者である私もこの本を手元に置いていて、仕事で分からない事があればすぐに調べます。

辞書的な使い方ができるのもこの本の魅力です。

機械製図を教える本の中には文字ばかりで例が全く描かれていない本があります。

そういった本は実務では使う事ができません。

その点、初心者のための機械製図は図が豊富なので理解しやすく、誰でもこの本の真似をすれば図面を描く事ができます。

正しい図面の描き方を学ぶための本
出典:初心者のための機械製図(第5版)

加工法を知るためには


先程、図面を読んだ時に「どんな加工がされているのか分かる」事も大切だと述べました。

図面には形状に関する情報の他に加工情報も記載されている事がほとんどです。

・ねじ切りの種類と太さ
・溶接方法
・使用ツール(表面の粗さ)

こういった情報を図面から読む、自分で選定・記載する事が機械設計者には求められます。

そのためには世の中にどんな加工法が存在しているのかを把握する必要があります。

実は機械設計者の中には加工に関する知識が全くない方がいます。

「そんな人いるの?」と思う人もいるでしょうがけっこういます。

なぜなら機械設計者の多くは高校や大学で加工の事を勉強していない、実際に自分で加工した事がない人が多いため加工知識が全くなかったりします。

そうすると作る事ができない部品図面を描いて現場から怒られ、設計者としての評価が下がっているのを私は何度も見ました。

そうならないためにも今から加工に関する基礎知識を身につけておきましょう。
実際に材料を加工するのが一番の勉強になりますが現実的には難しいので本で勉強します。

オススメ本はこちらです。

実際の設計シリーズでは機械設計者が最低限必要とする加工の知識を手に入れることができます。

図も豊富なので加工方法について全く分からない方にも理解しやすい本になっています。

機械設計者が加工法を知るためには
機械設計者が加工法を知るためには

材料力学

材料力学も機械設計者になる人が身につけておきたい知識です。

材料力学を含めて設計者は4力学を勉強しておいた方が良いと言われます。

4力学とは材料力学、機械力学、流体力学、熱力学を指します。

もちろんこの全てを勉強し習得したいですが現実的には難しいです。

また設計する機械によっては流体力学や熱力学が必要ない場合があります。

例えばミシンの設計で熱力学を使う場面は思い当たりません。

そのため流体力学や熱力学は会社に入ってから勉強すれば良いです。

初心者機械設計者としては材料力学をしっかりと勉強しておく事をオススメします

材料力学を一言で言えば「部品が壊れるか壊れないかを予測する学問」です。

実体がない機械を設計する人はいないと思いますので機械設計者であれば全員材料力学を使う事になります。

装置の設計、部品の設計をする時に想定荷重に対する耐久性にあたりをつけるために材料力学が活躍します。

また今はコスト計算も機械設計者の仕事であり、部品を少なく・小さくしても機械の機能を維持させるようにするのも大事な仕事になります。

こういった場面でも材料力学が必要になるでしょう。

会社に入ってから勉強できればいいのですが材料力学も勉強するにはまとまった時間が必要になるので会社に入社する前に勉強しておきましょう。

私がオススメする本はJSMEシリーズの材料力学テキストです。

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JSMEテキストシリーズ_内容

この本の特徴は図が豊富な点と計算式を省略していない点です。

材料力学のテキストの中には文字と数式ばかりで初心者からすると全く付いていけないテキストもあります。

また初心者用と書いてありながら計算式が省略されていて”チンプンカンプン”な本も多いです。

このJSMEテキストは初心者でも分かりやすい言葉と数式を使って材料力学を説明してくれているので助かります。

資格試験もオススメ

上記で製図と材料力学を勉強する事がこれから機械設計者になろうとしている人に大切だと述べました。

テキストを使い勉強していくと思いますが自分がどれくらい、製図と材料力学について習得できたかの判断が難しいと思います。

本に書いてある事を丸暗記するだけでは使える知識とは言えません。

自分の習得レベルを客観的に見極めるためには資格試験がオススメです。

数ある資格試験の中で製図も材料力学も試験内容に含まれている試験は機械設計技術者試験です。

機械設計技術者試験は一般社団法人 日本機械設計工業会が実施する技術力認定試験です。

機械設計で必要な知識が全般的に出題され、当然製図と材料力学の問題も含まれています。

1級、2級、3級と分かれており1級が一番難易度が高く、3級が一番難易度が低いです。

学生もしくは機械設計者未経験の方は3級を受験する事をオススメします。

試験の概要にはこちらの通りです。

【機械設計技術者試験3級の概要】

【受験日】

毎年11月頃。2021年(令和3年)は11月に実施された

【受験料】

8800円(消費税込み)

【受験資格】

3級は実務経験も必要なく誰でも受験可能

【難易度】

工業系の大学や新人技術者向けの試験で合格率は毎年40%程度

【対象者】

機械や装置の詳細設計の補佐、ならびに関連する製図等の業務を行なえる能力に達した技術者、または機械設計全般の基礎知識を習得した学生

【出題項目】

機構学・機械要素設計、機械力学、制御工学、工業材料、材料力学、流体・熱工学、工作法、機械製図

機械設計技術者試験のオススメ参考書についてはこちらです。

機械設計技術者試験オススメ参考書

CADに触れる

機械設計者が職場で必ず使うのがCADと呼ばれる図面作成ソフトです。

学生時代に工学系を勉強されていた方は一度は触った事があると思います。

機械設計の現場ではCADを使って構想設計、詳細設計、部品図作成を行います。

昔は2DCADしかありませんでしたが現在の多くの会社では3DCADも導入し、2DCADと3DCADを併用している会社が多いです。

会社に入ったら必ず使用しますので入社前から触れておき慣れていた方が良いです。

ただしCADには様々な種類があり会社によって使用するCADはまちまちです。

代表的なCADソフトは以下の通りです。

スクロールできます
CAD名内容
AutoCAD日本で最もシェアの高い2DCAD。機械業界だけでなく建築業界でも使わるる
InventorInventorは直感的な動作で使いやすいCAD。3Dもある
iCAD日本の富士通製のCAD。産業機械でよく使用される
代表的な2DCAD
スクロールできます
CAD名内容
ソリッドワークス日本で最もシェアの高い3DCAD。直感的で使いやすい
iCAD2D機能との連携もしやすく、3DCADの中で動作も軽い
CATIA曲面を作るのが得意な3DCAD。自動車業界でよく使われている
代表的な3DCAD

可能であれば会社で使用するCADと同じ種類で勉強しておきたいですがCADは数十万円から100万円程度するものもあるので自分で購入してまで勉強する必要はありません。

次に紹介する無料、もしくは格安で使えるソフトを参考書を使って練習しておく程度で良いでしょう。

無料または格安で使えるCADソフト

無料もしくは格安で使える2DCADはDraftSightか鍋CADです。

スクロールできます
CAD名内容費用
DraftSight30日間の試用期間あり。AutoCADとほぼ同等10,900円/年間
鍋CAD日本語の無料サポートページがある無料
格安で使える2DCAD

無料で使いたい方は鍋CADを使用するべきでしょうがオススメはDraftSightです。

オススメする理由は使用感がAutoCADとほぼ同じだからです。

日本の多くのメーカー、設計会社ではAutoCADが使われているので実践的な練習がDraftSightを使ってできるからです。

3DCADであればソリッドワークスかFusion 360がオススメです。

スクロールできます
CAD名内容費用
ソリッドワークスソリッドワークス for makersを使えば格安約10,000円/年間
Fusion 360商用目的でなければ無料無料
格安で使える3DCAD

ソリッドワークスは通常は1ライセンス100万円程度しますがソリッドワークス for makersを使えば年間99ドル(約1万円)で使用可能です。

またFusion 360でも3DCADの勉強ができます。

Fusion 360は無料で使える3DCADとしてスタートアップ企業やものづくりを趣味で楽しんでいる人達から人気のソフトです。

書籍も多く出版されているので3DCADを学びやすいソフトです。

コミュニケーション能力を鍛える

接客業がオススメの理由

まだ学生の方であれば学生のうちにコミュニケーション能力をつけておいた方が良いです。

機械設計はコミュニケーション能力が必要ないと思われがちですがそんな事は全くありません。

他の機械設計や電気設計者と協力するのは必須ですしお客様との仕様打ち合わせや交渉もあります。

特にメーカで設計をする場合には社内、社外と様々な方とコミュニケーションをする必要があるので学生の内に身につけておきたい能力です。

私がコミュニケーション能力向上のためにオススメするのは接客業のバイトです。

接客業ではお客様を気持ち良くさせるのが仕事の本質です。

そのために人の気持ちを考える能力が身につくのです。

これは技術者になってから身につけるのは難しいと機械メーカーで働く私は感じています。

なるべく若い時に人の気持ちが分かる能力を身につけておくのは機械設計者としてだけではなく社会人としても役に立つ技術です。

どうしてもついていけなくなったら

機械設計職として働き始めた時にどうしても職場でついていけなくなる場合もあります。

理由は様々あると思いますが人間関係、仕事への相性、職場での技術レベルの違い、こうした理由でどうしても機械設計が難しいと感じる人は一定数います。

そういった場合の選択肢について紹介します。

異動する

まずは社内で異動する事ができるかどうか会社で確認します。

機械設計職のみの会社というのはありません。

メーカーであれば、電気設計、プログラマー、製造、品質管理等の仕事が間違いなくあります。

他にも営業、経理、人事等、一般企業であればどの会社にでも存在する職種があたながお勤めの会社にもあると思います。

機械設計が難しく、ついていけないと感じたら、他の部署で一度働いてみましょう。

自分の仕事が嫌になったからといって、すぐに辞めようとする方がいますがこれは大きなリスクです。

会社を自己都合で辞めれば失業保険を受けるまでに二カ月は掛かり、その間は無給状態になるのは生活をする上で大変になります。

「部署移動って簡単にできないのでは?」と思う人もいるかと思います。

自分の希望とする職種に必ず就けるかは分かりませんが会社としても本人の力が発揮できない部署で働かせておく(給料を払い続ける)のはもったいないと考えます。

そのため、本人からの申し出があれば部署の異動を前向きに検討します、

転職する

すでに自分がやりたい仕事が明確にある場合は転職活動を今すぐに始めます。

転職は若ければ若い程有利になります。

特に未経験で採用されるためには若い方がいいです。

転職する方法はいくつかありますが転職エージェントを使うのがオススメです。

転職エージェントは求職者が全て無料で使える転職支援サービスです。

求人の紹介から職務経歴書の書き方、企業との面接日の調整、面接練習等、本来であれば全て1人でやらないといけない事を手伝ってくれます。

具体的に転職を考えている方はリクルートエージェントdodaといった大手転職エージェントに登録しまずはキャリアアドバイスを受けてみましょう。

ここであなたの希望する仕事に就ける可能性があるのかを判断してくれます。

今はオンラインで簡単に転職エージェントのキャリアアドバイスを受ける事ができるのでやってみましょう。

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