機械設計者が医薬、食品加工業界で働いた方がいい理由

機械設計は一括りの分野にされる事が多いですが働く業界によって仕事内容、働き方、年収は全く異なります。

設計者として働いている人数が最も多いのが日本の基幹産業である自動車業界です。そのため機械設計と言えば自動車業界が考えられがちです。

しかし自動車業界以外でも働きやすく魅力的な業界はあります。

その中で今回は医薬、食品加工業界での働き方を紹介します。あまり知られていませんがこの分野にも働きやすい会社はたくさんあります。

機械設計をしているけどこの分野については全く知らない人に向けて書いています。就職先や転職先の参考にもなるのでご興味ある方は読み進めて下さい。

目次

業界特有の安定

医薬、食品業界の最も特徴的な事は業界が安定している点です。

考えれば分かる通り、どちらの業界も人の日常生活に欠かせない物です。景気が悪くなってるから病気になったけど薬を飲むのを止めようと思う人はいないでしょう。

食品についても同様です。

景気の波に左右されない安定さがあります。

自動車業界を始めとする他の機械業界は景気の波に左右される事が多く、好調な時もありますが不況がくれば大企業でも「早期退職」を募りコストを抑えようとします。

会社員として働く場合、安定していない働き方は家族を不安にさせます。独身であれば多少収入が年度によって変化しても問題ありませんが家族がいると話は別です。

特に子育て世代であれば学校や習い事のお金がかさむ為、収入が安定しないと家計は苦しくなります。

そういった事を考えると業界として安定している医薬、食品加工業界は魅力的です。

2020年の市場規模で見ても医薬品は12.4兆円、食品加工業界29.4兆円です。

他の業種は自動車が65.7兆円、家電46.2兆円、工作機械4.8兆円、農業機械2.3兆円です。

日本が得意とする自動車・家電業界には劣りますが規模としてはそこそこあります。

ライバルが少ない

安定しているもう1つの理由はライバルメーカーが少ない(出にくい)ためです。

製薬、食品加工で使われる機械は一品一葉(オーダーメイド)の事が多いです。逆に言えば大量生産しづらい機械です。

そのため規模が大きい大企業には参入が難しいので中小企業がそれぞれの分野である意味独占状態になります。独占状態になれば価格競争に巻き込まれないのでメーカーとしては利益を出しやすい環境になります。

また食品加工分野は鮮度の関係から消費される地域または収穫される地域で加工するのが一般的です。

水が綺麗な場所に飲料水メーカーの工場があるのが有名ですよね。アサヒ飲料の「十六茶」や「おいしい水は」富士山の麓にある富士山工場で生産されています。

こういった背景から輸入や輸出が難しいため部品加工メーカーのように工場が海外に移転してしまうケースはほとんどありません。

医薬、食品加工業界が向いている人

医薬、食品加工業界が機械設計者や他の技術者全員にとって向いている業界ではありません。筆者もこの業界の会社で働いていますが毎年数名は退職します。人によっては向いていない場合があるので就職や転職を考えている人は注意が必要です。

この業界が向いている人はこのような人達です。

  • 自分の得意な仕事以外にもチャレンジできる人
  • 責任感や使命感が強い人

この分野はニッチなものを扱っているメーカーが多いので会社規模も大きくはありません。その為一人の技術者が他分野の仕事をしないといけない場合が多いです。

機械設計者だからと言って一日中ずっとCADを操作しているだけでなく機械を調整して時には配線作業やPLCのソフトを作るといった、通常の会社であれば別の人が行う作業も1人でする必要もでてきます。

そうした時に自分の担当範囲外だからという理由で業務が進められないと会社からの評価は低くなってしまいます。

完璧にできる必要はありませんが何でもやる気を見せ、やろうという姿勢を持っている方が向いています。

逆に言えば多様な仕事を経験できるので飽き性な人や何でも勉強したい方には向いている業界です。

責任感や使命感が強い人もこの業界に向いています。なぜならば扱う物が人間の体内に入る物なのでもしミスを犯せば最悪の場合、人命に関わります。

最近で言えば福井県にある後発医薬品の製造メーカーの小林化工が治療薬イトラコナゾール錠50「MEEK」に睡眠導入剤成分が混入した問題を起こしました。

物事をアバウトに扱かう人はこの業界には向いていません。逆に責任感が強い人は命に関わる仕事ができ、自分の仕事に誇りを持てます。

医薬、食品加工業界の会社の探し方

医薬、食品加工業界で働くにはまず会社探しから始まります。学校をでる新卒の方、既に社会人経験のある方どちらも今は就職・転職サイトで会社を探す事がおススメです。

私は転職サイトdodaでこの業界の求人を探したことがあります。

その際、以下のキーワードで探してみるといいでしょう。

製薬業界の探し方
キーワード「製薬、医薬、医療、包装」

食品加工業界の探し方
キーワード「食品加工、包装、食品機械」

オンライン以外での探し方では展示会に行くのもおススメです。

毎年東京や大阪でインターフェックスジャパンと呼ばれる製薬業界で使われる機械やサービスの展示会が行われます。

食品加工の分野ではフードテックジャパンが同様に開催されています。フードテックジャパンは食品工場や飲食店で使われる機械の展示会です。

これらの展示会に足を運び会社名を知ってから転職サイトや直接企業の採用ページから申し込む方法もあります。

以上

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