・文系の学生だが機械設計者になってみたいと考えている学生
[/box04]社会人になってからの機械設計の勉強法についてはこちらを参照して下さい。
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現在機械設計4年目の私も学生時代の勉強方法で悩んでいた事があります。
私は大学に入学する前から機械設計者になろうと考えていました。
大学の勉強を真面目にやってはいましたがこのままで機械設計者になれるんだろうかと思う事が何回かありました。
大学の勉強は理論的な事も多く、「こんなの実際に使うか?」と思った事があるからです。
実際に機械設計者になってみて私は大学の勉強を頑張って良かったなと感じています。
大学で勉強した事全てが役に立っているとは思いませんが多くの事が実務をする上で役立っているからです。
今回の記事では学生さんに向けて学生時代にどんな勉強をしたら「機械設計者になってから役立つか」、「機械設計者になれるか」を解説します。
皆様が少しでもなりたい自分になれるお手伝いができれば幸いです。
工業高校、高専、工学部に通っている機械、電気系の学生
ここではすでに工業系の学科に進んでいる学生の方で機械設計者になるまであと一歩のところまで来ている学生さんに向けて書きました。
最も大切な事は「学校での勉強をひたすら頑張る」事です。
なぜかというと私が機械設計者として働いている中で学生時代に頑張っていた事が生かされているなと感じる事が多いからです。
私は職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)という理論よりも実学を学ぶ事に重きを置いた大学に通っていたのでよりそう感じているのかもしれません。
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しかし皆さんが学校で学んでいる事はまちがいなく将来技術者になる自分に役立ちます。
今はコロナがあり休校になったりオンライン授業も多くつまらないと感じる事も多いでしょうがまずは「学校の勉強」を頑張ってやってみて下さい。
私が大学時代に学んだ事で特に大事だと思った勉強を次にお伝えします。
材料力学、運動力学、流体力学、熱力学はマスターしておく事
工業系の学生なら必ず勉強する4力学は特に力を入れてやった方がいいです。
- 材料力学
- 運動力学
- 流体力学
- 熱力学
この4つは機械設計者になってから必ず役に立ちます。
機械設計者全員がこの4力学を直接使うわけではありません。
機械設計者といっても分野によっては使わない人もいます。
私は今、製薬工場や健康食品工場で使う機械の設計をしていますが私の分野では熱力学は全くといっていいほど使いません。
しかし別の業界に転職した先輩は「熱力学ばかり使う」と話されていました。
なぜなら先輩は熱処理で使う炉の会社に転職したからでした。
今の時代は新卒で入社した会社に定年まで勤めるのは稀です。
多くの人が転職を経験します。
私の会社の技術者も9割が転職者です。
転職して別の会社に行く時に前の会社の知識が通じるとは限りません。
扱うものが変われば必要な知識も大きく変わってくるからです。
その時に4力学をマスターしていたらどの会社、どの部品や機械を設計する事になったとしても役に立ちます。
ちなみに私が今でも参考にしている材料力学の教科書はこの本です。
材料力学は4力学の中でも特に大事な分野です。
なぜならば部品の強度計算をしない機械設計者はいないからです。
もし材料力学を勉強していて「分かりづらいな」と感じたらこの本を読んでみる事をオススメします。
この本の良さは必ず「原理、原則を教えてくれる」ところです。
参考書によっては公式の意味を伝えない事もありますがこの本では「なぜこうなるのか」を丁寧に教えてくれます。
自分でものを作り失敗しておく
会社に入って部品や機械を設計するようになると「失敗」する事が難しくなります。
失敗は会社に損害を与えてしまうため個人の評価も下がってしまいます。
入社2,3年目までは失敗してもおおめに見てもらえますが周りからは「あいつまた失敗したな」と思われ、会社の中でつらい思いをする事があるでしょう。
そのため学生時代にものを作れる環境があるなら積極的にその環境を利用して「ものづくり」をしましょう。
工業系の学校に通っていれば学校に旋盤、フライス盤、ボール盤があると思います。
そういった工作機械をフル活用してものづくりをしましょう。
ものづくりをするとその過程で多くの失敗を経験すると思います。
- 部品が破損した
- 部品同士が干渉する
- 想定していた機能が発揮できない
- 外観がものすごくダサい
ありとあらゆる失敗をします。
この経験が「自分が機械設計者になった時」に役立ちます。
私も大学時代にたくさんのものづくりをしました。
授業の一環や趣味で以下の事をやりました。
- NC旋盤の製作
- 田んぼで使う除草ロボットの製作
- ラジコン飛行機の製作
- ライブスチーム(鉄道模型)の図面作成
ここでたくさんの失敗をしてものづくりが嫌になりかけた事もありますがこの失敗が企業で機械設計者をする時に役立っている時があるなと感じる事があります。
それは他の同期と比べた時に自分の方がはるかにいろんな事を知っていたからです。
図面の知識、CADの操作方法、工作機械等の加工の知識、検査方法etc、私の方が知識や技能があるなと少し喋っただけで分かるほどでした。
これもたくさんの失敗をして失敗の度に次はどうしたら上手くいくかを考えた結果だからだと今になったら思います。
じっくりと腰を据えてものづくりができる時間は社会人になると極端に少なくなります。
時間もないですし工作機械や道具を揃えるのも大変です。
今、時間もあって道具もある環境は大変貴重です。
少しでも自分で作ってみたいというものがあれば先生に相談し製作してみましょう。
学生であれば2D・3DCADを無料で使う事ができる
もしものづくりをしたいと思ったら図面や参考図を描く事になります。
その時に学校で使用しているCADを使用する事ができればそちらを使用しましょう。
もし学校で使用しているCADが使用できない場合でも学生が営利目的で使用しない場合であれば無償で使う事ができるソフトがあります。
私がオススメするソフトは2DCADであれば「AutoCAD」、3DCADであれば「SOLIDWORKS」です。
どちらも日本の製造業で一般的に使われているCADですので、自分が会社に入社した時にも役に立ちます。
操作方法も分かりやすく、解説本やYoutubeがたくさんでているのもオススメする理由の1つです。
以下にリンクを張っておくので興味がある方は見て下さい。
工業系の学生にオススメな機械設計者の資格
機械設計者になりたい学生が習得しておくべき資格は2つです。
- 機械設計技術者試験3級
- 機械製図技能士 機械製図CAD作業3級
この2つ以外で習得できる資格はないと言ってもいいでしょう。
機械設計技術者試験3級
まず機械設計技術者試験3級は機械設計全般の基礎知識を問う試験です。
概要は以下の通りです。
【機械設計技術者試験3級】
【対象者】
機械や装置の詳細設計の補佐、ならびに関連する製図等の業務を行なえる能力に達した技術者、または機械設計全般の基礎知識を習得した学生
【出題項目】
機構学・機械要素設計、機械力学、制御工学、工業材料、材料力学、流体・熱工学、工作法、機械製図
これを持っていれば機械設計に関する基礎知識は知っているなと客観的に証明できます。
難易度は大学の工学部卒業レベルであれば十分合格ができるレベルです。
勉強法はひたすら問題集と参考書を使って独学で勉強してくやり方が効率がいいです。
オススメの問題集と参考書はこちらです。
機械設計技術者試験について更に詳しい事を知りたい方はホームページがありますのでそちらで確認する事ができます。
機械製図技能士
機械製図技能士 機械製図CAD作業3級は課題図(機械装置を組み立てた状態の図面)から、指定された部品図をCADにより作成する試験です。
機械製図技能士 機械製図CAD作業3級の内容は、簡単な構造の機械装置の組立図と指示事項による部品図作成に関する技能・知識となっています。
併せて、製図一般、材料、材料力学一般、溶接一般、力学・液体・熱・電気などの基礎、機械製図法などに関する知識も含まれています。3級は初級技能者のレベルです。
引用:中央職業能力開発協会
学科と実技があり学科は以下のような知識が問われます。
- 製図一般
- 材料
- 材料力学一般
- 溶接一般
- 機械製図法
実技ではCADを使い組立図から指定された部品の部品図を抜き取り、寸法を入れていきます。
この資格を持っていると就職の時に大変有利になります。
なぜならばCADをある程度使えるという事が客観的に証明できるからです。
私は機械製図技能士 機械製図CAD作業2級を大学3年次に習得しました。
そのため就職の面接ではこの資格をアピールしていました。
面接官の方も興味を持ってくれて
「何でこの資格を取ろうと思ったんですか?」
「資格を取るうえで苦労した事はありますか?」
と積極的に質問してくれました。
就職時に有利になるという意味でも機械製図技能士の習得はオススメです。
技能検定のパンフレットのリンク先を張っておくので興味がある方は先生に相談し受験してみましょう。
工業系以外の学生が機械設計者になる方法
もし文系の学生でも機械設計者になりたいと考えている方がいると思います。
そういった方に最初にお伝えしたい事は「文系出身の方でも絶対に機械設計者になれる」という事です。
私が尊敬しているENGINEER48さんという機械設計者の方は文系の大学から機械設計者になられました。
学歴ですが、農業高校出身から経済学を学べる文系の大学へ。そこからの機械設計の世界に入りました。機械設計職での経歴は、機械設計事務所、機械要素メーカー、自営業、機械要素メーカー、機械設計事務所仲間と立ち上げ(現在)ですね。2D設計から始まって今は3DCADを利用した設計業務を行なっています。
また私の周りでも何人か文系の大学から機械設計の世界に入った方がおられます。
そのため「理系でないと機械設計は絶対無理」とは思わないで下さい。
しかしながら工業系の学生に比べると機械設計者として会社に採用されにくいという現実もあります。
その事をふまえてどうやったら文系の学生でも機械設計者になれるのかを考えていきます。
ここでは2つの方法を提案します。
ポリテクカレッジで機械の勉強をする
機械設計者になる1つ目の方法はポリテクカレッジもしくは職業訓練校で機械を勉強してから機械設計の職に就く事です。
ポリテクカレッジとは厚生労働省が運営する「技術者育成のための大学」です。
ポリテクカレッジ(職業能力開発大学校)のコース
ポリテクカレッジは全国10箇所に設置され、技術革新に対応できる高度な知識と技能・技術を兼ね備えた実践技能者(テクニシャン・エンジニア)の育成を目的とした専門課程(2年制)を育成するコースがある。
更に学びたい学生は新製品の開発、生産工程の構築等に対応できる将来の生産技術・生産管理部門のリーダーを育成することを目的とした応用課程(2年制)のコースがある。
ちなみに私はポリテクカレッジカレッジの機械系の専門課程コース2年、応用課程コース2年、合計4年勉強をしてから機械設計者になりました。
ポリテクカレッジカレッジに入学する学生の多くは高校を卒業したての18歳の人達です。
私は高校を卒業して4年間働いた後にこの学校に入学しました。
少数派ではありますが私のような経歴の方も少なからずいます。
ポリテクカレッジカレッジの良さは2つあります。
- 生産現場で必要になる技能が身につく
- 就職率が高い
ポリテクカレッジカレッジは「技術者を育成するため」の大学なので通常の大学のように座学をメインにした学習ではありません。
実学融合のカリキュラムになっていて座学もやりますがそれよりも多くの時間、技術を身につけるための実習を行います。
機械設計者になるために必要な、
図面の読み描き
2DCAD・3DCADの使い方
ロボット制御の技術
こういった技術や技能を習得する事ができます。
このように企業の生産現場で必要になる技術を習得する事ができるため就職率が非常に高く毎年ほぼ100%です。
私が卒業した年(2017年3月)も私を含めて多くの同級生は就職活動をしてすぐに内定をもらっていました。
これはポリテクカレッジカレッジにいる学生は技能を持っていると評価された結果だからだと思っています。
もし機械設計者になりたいと考えている学生はこのポリテクカレッジカレッジで技能を身につけて機械メーカーや設計事務所に就職する事をオススメします。
ポリテクカレッジ(職業能力開発大学校)での学習内容や私がポリテクカレッジカレッジに通った経緯についてはこちらにまとめてますので参考に読んでみて下さい。
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ポリテクカレッジカレッジの公式ホームページはこちらになります。
機械設計事務所に就職する
機械設計者になる2つ目の方法は機械設計事務所に就職する事です。
機械設計者というと機械メーカーに就職しそこで働くしか方法がないと考えている人も多いです。
しかし機械メーカーで働く以外にも機械設計者として働く方法があります。
それが設計事務所で機械設計職として働くという選択です。
機械メーカーと設計事務所の違いは商品にあります。
機械メーカーの商品は機械です。設計事務所の商品は図面です。
設計事務所は商品が図面なので機械設計士は図面を描く事が仕事の大半です。
一方機械メーカーの設計士は図面を描く事の他に電気設計やソフト設計との調整、製造部門とのやり取り、お客様との打ち合わせ等があります。
機械設計事務所は機械メーカーよりも採用のハードルが低いと言われています。
その理由としては社員人数が数名から数十名程度の少人数の規模で運営されているため、年中人手不足であり、働いてくれる人がいるなら未経験であっても採用しようと考えている経営者がいるためです。
もちろん最初から機械設計業務はさせてもらえず、まずは組図から部品図を作成したりするCADオペレーターのようなお仕事をしていく事にはなります。
[box06 title=”あわせて読みたい”]CADオペレーターから機械設計者になるには女性が機械設計として採用されるためにはメーカーではなく設計事務所を狙う
[/box06]最初はそういった機械設計者としての下積みのお仕事でもいずれは機械設計者になっていく事が可能です。
機械設計事務所のお仕事は大手の求人サイトには出ておらずハローワークや地元の求人誌のみ掲載されている事が多いです。
未経験でも機械設計者として働きたいという方はハローワークに行って機械設計事務所の求人を探してみましょう。
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