機械設計士になりたかったらここに行け!ー職業能力開発大学校ー

機械設計士として働くためには機械の知識、材料の知識、電気の知識が必要です。
それに加えて自分で金属を削って部品を作ったり、プログラムを組んだ経験があれば設計士としての成長も早いです。

私は職業能力開発大学校で上記の知識学び、実践経験も積みました。この経験のお陰でメーカーに新卒で入社する事ができました。

今回は機械設計士になるために必要な事とそれらを学ぶ場所について記事にしました。

目次

現役の機械設計士が機械を学んだ大学

私は2020年現在、中小企業の機械メーカーで機械設計士として働いています。

この会社には26歳の時に新卒で入社しました。
26歳で新卒という事は大学院に行ってたと思われる方もいると思いますが違います。

4大卒として入社しました。通常の方とは違うルートです。そのあたりの経緯についてはこちらの記事を参照して下さい。

自分が機械設計者になった理由~20歳を超えてからでも設計者になれる~

22歳の時に機械設計士になると決め、なるためにはどうしたらよいかと考え調べました。

一般大学の工学部や専門学校も考えましたが入学の容易さ、学費の安さ、専門性の身につけやすさを考慮し職業能力開発大学校に進学しました。

職業能力開発大学校は厚生労働省が管轄している大学です。職業訓練校と呼ばれる求職者が通う職業訓練所の一つです。

職業訓練所との違いは通学期間の違いです。

職業訓練所の多くは3ヶ月から1年程度の長さです。(コースによっても長さが違う)

職業能力開発大学校は最低でも2年、最高で4年通います。

専門課程と呼ばれる基礎的な事を2年間学びさらに学びたい意欲のある者が応用課程で2年間勉強します。

私が通っていた機械系の学部では専門課程の2年間で図面の書き方、CADの使い方、工作機械の使い方を学びます。

応用過程に入ってからは専門課程で勉強した知識を使い装置を作っていきます。

私の時は応用過程1年生で6足歩行ロボットを作りました。

この課題は0から作るのではなく、先輩達が作ったロボットを参考に「より早く歩行するためには何をすべきか」をグループメンバーで知識を出し合いロボットの案を練ります。

その後、メンバーで作業を分担します。

・CADで図面を作成
・工作機械で部品加工
・PLCでプログラムを作成
・ロボットの組み立て

専門課程で学んだ事を総動員します。この過程で機械を1から製作するというメーカーの仕事を模擬的に学ぶ事ができます。

応用過程2年時には自分達、機械系以外のコースの人達とも協力し1つのテーマを1年間取り組みます。

通常の大学の卒業論文と同じです。

他の大学と違う点は装置を作りあげる事です。
研究ではなく装置づくりに主眼を置いています。

私の時は機械、電気、電子(ソフト)の人達が各々のコースから数名づつでて、グループで取り組むテーマを決めました。

私達のグループでは田んぼを除草する、除草ロボットの開発に取り組みました。

全く0からのスタートで右も左も分からない段階だったので田んぼの視察から始まりました。

雑草はどのように生えていてどうしたら除去できるのかを考えていきます。

企業で言えば市場調査です。職業能力開発大学校は企業人として即戦力の人材を育成するためにどんな時も「企業で働き活躍するため」にを考えたカリキュラムになっています。

僕達のグループは1年で田んぼを除草できる機械を目指していましたが田んぼをなんとか走れる段階で1年が終わってしまいました。

目標には程遠い結果でしたが目標の仕様に向けて機械を作っていく難しさと製作の流れは勉強できました。

この経験は一般の大学ではできない経験です。

機械設計士になるために専門科目を学ぶのが最短

私は中小企業の機械設計士として働いています。大学は上記の職業能力開発大学校出身です。

同僚を見ても機械系の学校を卒業してる方が大半です。
・大学の工学部機械学科
・高専の機械学科
・工業高校

稀に電気系の学科を卒業されている方もいます。
しかし経済学部卒や文学部卒はいません。

いわゆる文系の人は私の職場にはいません。

この理由として機械設計士というのは専門的な知識が求められるからです。

図面の読み書き、機械加工の知識、材料特性の把握、電気やプログラムの知識。

これらの要素をある程度理解しておかないと企業で実際に設計職として働くのは難しいです。

企業によっては募集要項には文系でも可と記載のある場合もあります。

しかし企業側も本音を言えば機械に対して知識を持っていて図面の読み書きはできる人が欲しいです。

日々納期に追われてる機械装置メーカーは新人に手取り足取り教えている時間には限りがあるからです。

図面の読み方から教える必要がある新人と図面は読めるし、CADで描いた経験もある新人だったらどちらを採用しますか?

答えは明白です。間違いなく後者を採用します。図面を読んだり描く作業は独学では難しい場合が多いです。図面を読むのは教科書を使いできたとしても描くのは難しいです。

図面を描く専用のCADソフトは数十万円以上して高価です。そして自分で図面を描いても添削してくれる先生がいないと正解が分からないため独学では難しいです。

私も学生時代、図面を描いては先生に直され、描いてはは直されを手書き図面を含めたら500枚程度は描きました。

それくらいしなければ図面を描く力は身につきません。

職業能力開発大学校では専門課程の1年次はドラフターと呼ばれる図面台で手書きで図面を描きます。

それを1年間続けその後2次元CAD、3次元CADを勉強します。週に3時間以上は図面と格闘します。

それを4年間続けます。通常の大学ではここまで図面を描く作業はしませんのでそれだけで他の学生と差別化する事ができます。

機械設計士になるために職業能力開発大学校という選択

私が機械設計士になりたい人に職業能力開発大学校を進める理由は上記の通り実戦経験を積めるからです。

ものづくりにおいては理論を学ぶ事も大切ですがそれ以上に自分で経験があるのとないのとでは雲泥の差が出てきます。

自分で機械を使い鉄の塊から部品を作る経験がある事で良い図面を描くことができます。

機械メーカーの会社の研修でまずはやすり掛けをする会社が多いです。

これはやすりで鉄を削る経験を通して鉄の硬さの感覚や0.1mmの寸法を合わせる大切さを新入社員に学ばせるために研修します。

こういった経験がないと想像だけで図面を作成し図面上では描けても実際に作成できないといった事が頻発するからです。時間を掛けて描いた図面が実際には作れませんでしたでは企業は損をします。

そのためメーカーでは勉強ができる人材よりも実戦経験がある人材の方が好まれる傾向にあります。職業能力開発大学校では嫌というほど実戦経験を積む事ができます。

職業能力開発大学校に通うための心構え

職業能力開発大学校は通常の4年制大学に比べ圧倒的な経験を実務レベルで積む事ができるのが大きな強みです。

逆に言えば多くの時間を実践に使います。そのため理論を突き詰めてある研究をとことんやり将来は研究者になるんだという方にはおすすめする事ができません。

機械設計者や技術者として働きたいという意思がある方がこの大学には合っています。1日中金属を削っていても苦ではなく、むしろ楽しいと思える方はぴったりの学校です。

職業能力開発大学校は専門課程で2800時間、応用課程も2800時間は訓練しないといけないと定められています。授業も朝から夕方までびっしり詰まっています。

春休み、夏休み、冬休みの長期休みも2週間程度のため他の大学生のように1カ月以上の休みはありません。

長時間の訓練に耐えうる気持ちが絶対に必要になります。逆に機械が好きで勉強よりも実戦的な作業が楽しいと感じる方であれば職業能力開発大学校にマッチします。

まとめ

  • 職業能力開発大学校は機械に必要な専門的な事を学ぶ事ができる
  • 授業は理論よりも手を動かし考えながらものづくりをする実践主義
  • 長時間の訓練も楽しんで取り組む事ができる人に向いている
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