小林化工 GMP違反

小林化工と日医工の社員はどうなるのか? |過去の不正事例から考える|

小林化工と日医工の社員はどうなるのか? |過去の不正事例から考える|
こんな方におすすめ

小林化工と日医工の社員の方

製薬メーカーから転職を考えている方

製薬製造現場の実態を知りたい方

 

福井県にある後発医薬品の製造メーカーの小林化工が2020年に同社が製造した爪水虫などの治療薬イトラコナゾール錠50「MEEK」に睡眠導入剤成分が混入した問題を起こしました。

またジェネリック医薬品(後発薬)製造大手「日医工」(富山市)でも富山第一工場(富山県滑川市)で不正があった事が見つかりました。

小林化工は116日間の業務停止命令と業務改善命令を受け、日医工は32日間の業務停止命令を受けました。これは薬を製造する事を禁止させられる極めて重い処分です。

この2つの会社は製薬会社としてやってはいけない行為をしていました。

しかしそこで働く従業員の大半は会社で決められた手順通りの事を行い、自分達の会社がGMPを逸脱しているとは思ってもみなかったでしょう。

社員には何の責任がなくても会社が潰れてしまったり、そこまではいかなくても業績が悪くなってしまい給料が下がってしまうケースはあります。

この記事では過去の事例から不正を起こした会社の社員達の待遇の変化を見ていき、小林化工と日医工の社員達がどのようになっていくかを考えてみたいと思います。

不正を起こした会社の社員達の待遇

不正を起こした会社の多くは収益が下がってしまいます。

今回の小林化工や日医工では業務停止命令を受けたためその間は製品である薬の製造ができないからです。

また業務停止命令を受けた後も会社のイメージダウンによる売り上げの減少、再発防止のための社員教育の実施等によるコストアップが予想され収益が例年に比べ大幅に下がるでしょう。

最悪の場合は会社の倒産になる可能性もあります。

そこまではいかなくとも以下の事が発生する可能性は十分あります。

  • 社員のリストラ
  • 早期退職者の募集
  • ボーナスカット
  • 給料カット

過去の事例を見ながら不正をした会社の社員がどのうようになっていくかを見てみましょう。

ワクチン不正製造の化学及血清療法研究所|2016年|

2016年に熊本県にある化学及血清療法研究所(化血研)が長年にわたって血液製剤を不正製造していたとして過去最長となる110日間の業務停止処分を受けました。

当時の厚生労働大臣塩崎恭久さんが「本来なら医薬品製造販売許可の取消処分をすべき事案。化血研という組織のまま製造販売を続けることはない」と組織の解体を迫りました。

出典:AnswersNews 混迷極まる化血研問題…ワクチン不正製造は真っ向否定 事業譲渡交渉は破談に

 

譲渡先には化血研の血液製剤の販売を担っていたアステラス製薬に白羽の矢が当たり、同社との交渉が始まった。中略

アステラスが考える事業譲渡案は化血研の不採算事業から撤退し、利益の上がる企業に変えることだった。

そのためのリストラを要求したことに対し、化血研はあくまで「従業員約1900人の継続雇用」「血液製剤、ワクチン、動物薬の3事業の存続」「本社は熊本」の3条件を主張した。

出典:集中 Medicon

厚生労働大臣が組織の解体を迫った事によりアステラス製薬への事業譲渡交渉となりました。

この時アステラス製薬は利益の上がる企業にするため化学及血清療法研究所にリストラを要求しました。

最終的には明治HDに事業譲渡が決まりました。

この時はリストラはなかったようですがアステラス製薬に会社が譲渡されていた場合は社員がリストラされる可能性は十分にありました。

大規模リコールになり倒産したタカタ|2017年|

シートベルトなどの安全部品で高い世界シェアを持ちながら、欠陥エアバッグの異常破裂問題を起こしたタカタ。製造業では戦後最大の経営破綻となった。

出典:日経ビジネス

2017年にタカタと言う自動車用のエアバックメーカーが倒産しました。

その後米自動車用安全部品メーカーのキー・セイフティー・システムズ(KSS)に約1700億円で買収されました。

しかし買収後残っている社員達の働き方については”変わっていない”と関係者の人は話しています。

ただ、残っている社員がどうなっているかと言えば、「待遇も働き方もほとんど変わっていない。重久氏の側近も駆逐されずいいポストに残っている」と今もタカタ社員と交流が続くOBは証言する。

中略

一連の騒動で転職者が増え人数が既に減っていたため、「買収されてから特段のリストラもない」と現役社員は話す。「だから拍子抜けするほど前と何も変わっていない。何をするにもいちいち米本社の決裁を仰がなくてはいけなくなったのは煩わしいが、正直転職しないでよかった」(同)

出典:日経ビジネス

高い技術力を持ち、他の会社ではかえのきかない商品を持っている会社の場合は会社が潰れたり買収されてもそこで働く社員の方達の「給料」、「働き方」は変わらない場合もあると言えます。

不正を起こした会社からの転職

先程例をあげた化学及血清療法研究所とタカタはリストラはなかったようです。

社員の給料の減額やボーナスカットが行われたかどうかは内部で働く人しか分かりません。

しかし給料が上がったり、これから上がっていくという事は考えづらいです。

そのため別の会社に転職する方がよい可能性もあります。

転職した方がよいかどうかは本人が持っているスキル、年齢によって変わってきます。

他社で通用するスキルが高かったり、年齢が若い場合は転職しやすいと言われています。

しかし今の時代は若い人が少なく、日本の平均年齢は48歳です。

このような環境のため、どの会社も人材が不足しています。

高いスキルを持っている人のみが転職できるという訳ではありません。

探せばあなたの事を欲している会社はあります。

転職活動のやり方について分からないという方がいれば以下の記事に詳しいやり方を書いています。

製薬会社の社員の実力

私は機械装置メーカーの設計者として100回以上、製薬工場の現場に訪問した事があります。

訪問する中で製薬工場の現場で働く人達の優れているところを沢山見てきました。

現場で働く人達が当たり前と思ってやっている事や考えている事も実は外部から見ると「凄い事」と感じました。

私は工場にしか行った事ないので製薬会社さんの本社の方や営業の方については言及できませんが工場で働く人達については一緒に仕事をしてきているのでお伝えできる事があります。

もし製薬会社の工場で働いている人達が転職をされる際には参考にして下さい。

製造部門は流れ作業ではない

工場の働き方はベルトコンベア作業で同じ事の繰り返しと想像している人が多いですが製薬工場の場合は違います。

私が知っているだけでもこのような業務をしています。

  • 薬の製造
  • 機械の組付け(型替え作業)
  • 部品洗浄作業
  • 機械のメンテナンス(保全)
  • 薬を製造するための書類の作成
  • 品質保証部等の他部門との調整

1日中薬の製造をしている訳ではありません。

午前中は機械を動かし午後から機械の組付けや書類の作成をしている場合もあります。

また機械も同じ機械ばかりをやるのではなく、メーカーの違う機械や他工程の機械も扱うので機械について詳しい人が多いです。

これは他の工場で流れ作業をしている人には持っていない能力です。

メーカーの設計者の私よりも機械に詳しい人もいてビックリした経験は1度や2度ではありません。

もし機械が好きであったり機械について苦手意識が無い方は機械関係の仕事に就いても良いでしょう。

また製薬会社の製造部は品質保証部門とも関わる機会が多いため、皆さんコミュニケーション能力が高いです。

工場勤務と言うと無口な人が多いと思われがちですがそんな事はありません。

現在製薬会社の製造部門で働かれている方が転職される場合は以下のお仕事が候補としてあります。

機械の知識が豊富なエンジニアリング部門(工務部)

製薬会社のエンジニアリング部門の方は皆さんたくさんの仕事を抱えていました。

社内の仕事だけではなく我々メーカーとのやり取りもされているので朝は早く、夜は遅い、土日も工事関係がある時は出勤される事が多いようです。

そのため全員タフな人が多い印象です。ちょっとしたトラブルが起きても平然としていて何食わぬ顔で黙々と仕事をこなしています。

機械や設備の知識も豊富に持っています。

それはたくさんのメーカーの機械を1人で扱っているのでその業務経験から詳しくなっていったとあるエンジニアリング部門の方が話されていました。

また海外の機械を扱う事もあるので英語の取扱説明書を読むための英語の知識かネット等を利用して翻訳ができる能力は皆さん持っていました。

もしエンジニアリング部門の方が転職される場合は以下のお仕事が候補としてあります。

データ分析に強い品質保証部

品質保証部門は製薬会社において重要な役割を担っています。

薬の安全を担保するのが仕事のため全員が高い安全意識と責任感を持って仕事をしている印象があります。

データ分析の能力が高く、薬の溶質試験で成分に異常が見られた時は製造部門や装置メーカーと協力をして原因究明の手助けをしてくれました。

その時に彼らの分析能力と薬の安定供給に関する責任感を感じました。

GMPに関する知識も豊富にもっておりこの知識は他の製薬会社や健康食品会社でも生かす事ができます。

そのため品質保証部門の方が転職される場合は他の製薬会社さんを中心にして以下のお仕事が候補としてあります。

製薬会社さんの社員は外部環境を一度見た方が良い

私は製薬会社さんの工場で働く人達と多く関わってきました。

優秀な人が多く、一緒に仕事をしていて何かトラブルになる事もありませんでした。

その反面、彼らに共通する事は「会社が潰れる危機意識の低さ」でした。

製薬会社という世間一般から見ると安定した業界の工場に勤めているため会社が潰れて自分の仕事がなくなるという感覚は持っていないように見られます。

たしかにこれまでの製薬業界であればそれでよかったと思います。

しかし小林化工や日医工でこういった問題が起きると国から厳しい目で製薬業界全体が見られ、これまでより安全、安心に対してのコストが高くつくと予測されます。

そうするとこれまでコスト意識が低かった製薬会社や製薬工場では利益が出せなくなり、潰れてしまったり他の会社に吸収される事も十分考える事ができます。

そういった時に現場で働いている人達が他の製薬会社さん又は製薬業界以外で働けるように準備しておくことは大切な事です。

そのためにも自分が外部の環境で働く事ができるのかを考えてみてはいかがでしょうか。

その1つとして転職活動をしてみる事をおすすめします。

転職活動は”他社に転職する事”だけを目的としていません。

  • 自分のスキルを見直す
  • 自分のやりたいことを見直す
  • 他の会社で通用するかをエージェントに聞いてみる

こういった事も転職活動です。

もし将来について不安を抱えていたり、自分のやりたい仕事があると思っていたらせっかくの機会なのでじっくり考えてみてもいいでしょう。