CAD

2次元CADを使いこなす

2次元CADを使いこなす

一昔前は機械図面はドラフターと呼ばれる製図台を使い手書きで描かれていました。しかし2021年日本でドラフターを使っている機械設計者は皆無です。

その理由としては手書きに比べてCADと呼ばれる図面作成用のソフトを使った方が「速く、正確、綺麗」に図面を作成する事ができるからです。

手書きではできなかった作業を2次元CADで行う事もできます。まずは2次元CADで何ができ、なぜ設計、製図作業時間を大幅に短縮できるかを解説します。

一方CADを使う事のデメリットも存在します。そちらについてもCADを使う上で理解しておく必要がありますので解説します。

最後に2次元CADを習得できる場所をいくつか紹介します。これからCADを習得し、機械設計者やCADオペレーターを目指す方は参考にして下さい。

2次元CADでできる事

2次元CADではドラフターでやっていた作業は100%することができます。線や円を描いたり、寸法や注記を入れる鉛筆を使って形状を描いたり文字を書く作業はパソコンのマウスとキーボードに置き換えられました。

設計者は鉛筆を使うより、「速く、正確、綺麗」そして楽に作業をする事ができるようになりました。

それにプラスをして2次元CADではドラフターではできなかった事もできるようになりました。いくつか例を紹介します。

  1. 線が正確に描ける
  2. 線の消去、修正が容易
  3. コピーができる
  4. レイヤー分けができる
  5. 図面をサーバー上に電子データで保管できる

線が正確に描ける

2次元CADでは手書きに比べて線を正確に描く事ができます。手書きの場合は定規を使っていましたがそれでは0.01mm単位まで正確に描く事は不可能でした。

それをCADではパソコンの画面上でどんなに細かい値も数値通りに正確に描く事ができます。

線を正確に描くことができれば例え寸法の記入がなくてもデータさえ渡せば加工を行う事ができます。

実際に加工業者ではお客様からCADデータをもらいCADの絵から長さを確認している会社もあります。

線の消去、修正が容易

手書き図面で一番大変だった作業が線の消去、修正です。

消去、修正するためには消しゴムで線を綺麗に消し、それから線を引き直さないといけませんでした。

線を消す度に図面は黒く汚れドラフターの上は消しカスが大量に発生しました。

これをCADでは一瞬の内に線を消去できます。また線を拡大、収縮するのも容易に行えます。

コピーができる

手書き図面の場合はコピーという概念はありませんでした。CADの特徴が簡単にコピーができるという事です。

線や円といった単一の形をコピーする事もできますし、いくつかの線や円をまとめてコピーする事もできます。

コピーが容易にできるため他者が作った図や図面丸ごと真似する事も容易です。

機械設計は0から形状や機構を生み出す場合は少ないです。似たような機構を真似したり、既に完成されている機械を更にバージョンアップする事が多いです。

形状や機構を真似する事を流用設計と呼びます。

流用設計をする事で設計時間の大幅な短縮に繋がり機械の開発/設計コストを抑える事ができます。

しかし何も知識がなくても形になる図面が作成でき、かつ機械もでき上がるので機械設計者の技術力低下に繋がる恐れもあります。それにはついてこの記事で後述します。

レイヤー分けができる

手書き図面では同じ太さの鉛筆で描かれた線は当然人間の目には同じに見えます。当たり前の事です。

しかしこれは計画図(組立図)を作成する時や計画図を描いた本人以外が計画図を見る時に大変不便です。

計画図というのは機械を構成する部品が機械として組み付いている図面の事です。機械設計者はポンチ絵から計画図を作成します。

例えばA、B、Cの3つの部品で構成されている機械があったとします。計画図にはこの3つの部品がついています。

手書き図面の場合、どれがAという部品でどればBの部品なのか一目で理解する事ができません。書かれている線は黒で太さも一緒だからです。

CADの場合はレイヤーという機能があります。レイヤーとは透明シートとイメージして下さい。

レイヤーが3枚ある場合は透明シートが3枚あるという事です。CADではレイヤーを設定することで透明シートを作成できます。

では透明シートを作成すると何が便利になるのでしょうか。

先程部品A、B、Cで構成されている機械を例にしました。CADの場合はA,B,C描く時にそれぞれレイヤー1、2、3に部品を作成します。

レイヤー1には部品Aが描かれており、レイヤー2には部品Bが描かれ、レイヤー3には部品Cが描かれている状態です。

この3枚のレイヤーを重ねる事によって1枚の計画図とします。

レイヤー分けされた計画図は必要に応じてレイヤー毎に表示、非表示が容易にできます。レイヤー1だけを表示してその他のレイヤーを非表示にする事ができます。

レイヤー事に線の色分けもする事ができるので一目で計画図にどの部品がついているのかを確認することができます。

図面をサーバー上に電子データで保管できる

手書き図面時代は図面は紙で保管されていました。図面は会社の重要な知財であるため厳重に保管されていました。

紙で保管するデメリットは

  • 劣化する
  • 探すのに時間がかかる
  • 保管場所がかさばる

上記の3つがデメリットでした。

紙は劣化してしまうため数十年経つと破れやすくなったり、線が見えにくくなります。探す時間も膨大に取られ書庫まで行き大量のファイルから目的の図面を探すのは一苦労でした。

それがCADに置き換わるようになり、紙はCADデータに置き換わりパソコン上で瞬時に探す事ができるようになりました。またデータが電子データのため保管スペースも必要ありません。

2次元CADを使うメリットは設計時間の短縮性

2次元CADを使用する最大のメリットは機械設計時間の短縮にあります。

上記で説明した2次元CADでできる事の機能を生かす事で手書き図面時代には考えられなかった設計スピードを実現する事ができます。

設計時間の短縮性に一番貢献しているのはコピー機能です。図形や図面をコピーする事により0から1を生み出す必要がなくなりました。

0から1を作る作業は経験を必要とします。また作業時間も必要とします。

この作業が手書きからCADに代わる事により必要がなくなりました。

先輩設計者やこれまでに会社で描かれた図面を流用し必要な箇所だけ変更するだけでいいからです。

これを流用設計とも呼んでいます。

ネジやシリンダ、バネ等の市販品はメーカーのホームページからDXFデータとして簡単にダウンロードし設計者の計画図にコピーする事ができます。

ミスミというFA(Factory Automation)などの標準部品を取り扱っている会社では様々な市販品の図面データをダウンロードできます。更にホームページからも購入する事ができ納期も非常に短く設計者にとっては便利です。

市販品を上手に使う事により更に時間を短縮することができます。

2次元CADを使うデメリットは設計者の技術力低下

2DCADを使うメリットは非常に大きいため世の中に広く2DCADが普及しました。

しかし2DCADを使用する事によるデメリットもいくつか存在します。

その1つが機械設計者の技術力低下です。

CADのコピー機能と図面を電子データ記録として扱える事により他社の設計者と情報を共有する事が手書き図面時代に比べて容易になりました。

他者とは自社の他の設計者や過去在籍した設計者、他社の設計者、機械要素メーカー等、CADの電子データを扱える環境にある人全員を指します。

情報は機械や部品の形状データです。

他者と形状データを共有できる事になったお陰で0から1を生み出さなくても機械を設計しているように見えるようになりました。(見えるようになったと言うのは皮肉を含んでいます)

機械設計とは本来インプットである仕様書からアウトプットである部品図や技術書の提出を指します。特に仕様書を元に構想設計、詳細設計を行い、その間に設計書を作っていく作業が設計者の大きな仕事です。

機械設計の流れについてはこちらの記事を参照下さい。

 

自分が作っていないデータ(他者の機械や部品形状)を使用する事により構想設計や詳細設計も8割方終わっている状態から設計がスタートします。

そうするとポンチ絵を描く必要や強度計算も行なう必要がなくなります。また仕様を満たす事ができる根拠となる設計書の作成も必要なくなります。そのため設計時間は短縮できます。

その代わり犠牲になるのが0から1を生み出す力が機械設計者になくなる事です。

新人の頃から流用設計ばかりを行い0から1を生み出した経験のない設計者ばかりになれば機械メーカーは新たな機械を開発する力を失います。

それは機械メーカーにとっては競争力を失う事になりライバルメーカーに負けてしまいます。

そのため設計者個人だけでなく機械メーカーも0から1を生み出せる機械設計者を育成する仕組み作りが必要です。

2次元CADを習得できる場所

多くの機械メーカーや設計事務所で2DCADを使用しています。特に中小企業では導入に多大なコストがかかる3DCADは導入せず2DCADのみの会社も非常に多いです。

そのため機械設計者やCADオペレーターで働く場合2DCADを習得しておいた方が就職や転職に有利になります。

未経験でも採用される可能性はありますがスキルを持っている方が採用される確率は非常に高くなります。

2DCADを習得する方法は主に4つあります。

  • 独学する
  • CADスクールに通う
  • 職業訓練校に通う
  • 職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)に通う

独学は高スペックのパソコンや高額なCADソフトを自分で用意する必要があるためおススメできません。

もし独学でやられる場合は無料のソフトや有料でも安いソフトを以下の記事で紹介しているので参照して下さい。

 

プロフェッショナルなコーチがいる学校に通うのが最も楽にCADスキルを習得できますのでお金や時間に余裕がある方、最短でCAD技術を身につけたい方はCADスクールや学校に行く事をおススメします。

CADスクール選びについては以下の記事で詳しく解説しています。

 

私がCADを取得した職業能力開発大学校(ポリテクカレッジ)については以下の記事を参照して下さい。

 

まとめ

  • 2DCADを使うメリットは流用設計による設計時間の短縮性
  • 2DCADを使うデメリットは流用設計による機械設計者の技術力低下
  • 2DCADは独学でなく専門の学校に通うのがおススメ