機械設計者が2DCADを使うデメリット

機械メーカーや機械設計事務所で2DCADを持っていない会社はありません。

3DCADがいくら普及しようとも日本ではまだまだ2D図面が主流です。その理由は部品を加工するための設計図である部品図が3D図面ではなく2D図面だからです。

そのため部品図は2DCADを使用し2D図面で描かれています。

2DCADを使うメリットについてはこちらの記事を参照下さい。

 

しかしながら2DCADが苦手とする事もあります。その苦手な所を補ったのが3DCADです。

今回の記事では3DCADと比較しながら2DCADを使うことのデメリットについて解説します。

目次

形状変更が面倒

3DCADと比較した時に最も苦手とするところが形状変更の面倒さです。

2DCADで図面を描く場合、通常は機械を正面から見た「正面図」、側面から見た「側面図」、上から見た「平面図」の3面を描きます。

場合によっては下から見た「下面図」も描きます。

2DCADで描く場合、正面図で形状を変更しても側面図や平面図で形状が変更されない点が2DCADの大きなデメリットです。

正面図で機械の高さを変更した場合、三角法と呼ばれる図面の描き方のルールに従えば側面図の高さも変更しなければいけません。

しかし正面図を変更しても側面図は自動で変更されず設計者が自ら側面図も正面図に合わせないといけない点が2DCADの操作で面倒な点です。

3DCADで部品をモデリングする場合はこちらの操作を必要としません。

そもそも3DCADには3面図という概念がありません。また3DCADにはモデリングした部品を2Dの3面図に落とし込んでくれる機能があるCADがあります。

そういったCADではモデリングした部品の形状を3DCAD上で変更した場合、自動的に3面図の形状を変更してくれます。

そのため形状変更後の図面ミスが2DCADに比べて圧倒的に減らす事ができます。

開発途中の機械や特別仕様が多い機械であれば形状変更は頻繁にあります。そのたびに計画図の正面図だけでなく、側面図、平面図を変更するのは大変時間も労力も掛かる作業です。

計画図だけでなく部品図も変更となると設計者1人だけでは2DCADの場合、大変難しいです。

その点3DCADであればアセンブリされている機械の部品の一部の変更で計画図、部品図共に自動で形状変更してくれるので設計者の負担を大幅に低減させる事ができます。

2D図面では設計者しか図面を理解できない

平面図である3面図から部品の形状を読み取るという作業は誰しもが一目でできる作業ではありません。

図面について知識のある機械設計者や機械加工者であれば3面図から部品形状を読み取り頭の中で立体的な部品をイメージする事ができます。

3次元CADモデリング

3次元CADでかかれたモデルは誰もが一目で構造を理解できる

 

しかしながら機械メーカーの中でも3面図を読み取れない人は多数存在します。機械の知識がない経営者や役員、営業マン、購買、品質保証の方々です。

機械メーカーで働く人の半分以上は図面が読めません。そんな人達とも機械について話合う場面があります。

設計している機械について課題や改善点を出し合う会議があります。別名デザインレビューと呼ばれます。

そこでは機械設計者だけでなく、営業マンや品質保証も出席します。

お客様の視点から機械を見るために営業マンは会議に出席します。法規制や環境についての観点で機械を見るために品質保証部の人達も出席します。

彼らに2D図面(3面図)だけを見せて機械の構造を理解してくれというのは無理な話です。せっかくの会議もまずは設計している機械を正しく理解してもらう作業から始めないといけません。

それではデザインレビューの目的である機械の改善についての討論ができません。

もし3DCADでモデリングされた機械であればどうでしょうか?

一目で機械の外観や構造を誰でも理解する事ができます。色や質感もつける事ができるので実際に製造される機械とほぼ同等のものがディスプレイに映す事が可能です。

これによりデザインレビューの本来の目的である機械の課題を出し合い、改善点を出す事に時間を割く事ができます。

もし設計者以外とも機械について議論が必要な場合は2DCADでなくて3DCADで機械をモデリングする事をおススメします。

CADオペレーターとしての市場価値の低さ

機械設計者として会社で働く上で市場価値を意識した働き方は重要です。

もし今自分が勤めている会社が倒産したり、自分自身がクビになる可能性も0ではありません。

その時にできるだけ高い給料で次の会社に雇ってもらうために機械設計者やCADオペレーターとしては2DCAD、3DCADどちらのスキルを持っておくべきでしょうか。

こちらの2018年の記事によると以下の記述があります。

2DのみのCADオペレーターの場合だと、都心でも時給は1400円~1500円程度ですが、3DCADも扱えるCADオペレーターの場合では1800円~2500円と比較的高めに時給が設定されています。

3DCADも扱えるオペレーターの方が1.5倍以上も高い時給になっています。という事は2DCADよりも3DCADの方が市場価値としては高い事になります。

今からCADオペレーターになろうという方でどちらを習得するか悩まられている方は3DCADスキルを習得する事をおススメします。

CADオペレーターの場合は上記のように3DCADを習得する方が高い時給の仕事に就ける可能性は高いです。

しかし機械設計者の場合はそうではないケースが多いです。

機械設計者の場合扱っているCADよりはこれまで設計した機械について評価される事が圧倒的に多いです。

設計者の主な仕事は仕様書からポンチ絵を作成と計画図の作成、設計書の作成です。

機械設計者の仕事については以下の記事を参考にして下さい。

 

 

そのためどんなCADを使っていたかはそれ程重要視されません。もちろんCAD自体使うのが初めてという設計者は不利になりますがそういった設計者は少ないです。

設計者として市場価値を高めるのであれば、たくさんの機械や難しい機械の設計にできるだけ携わる事をおススメします。

まとめ

  • 2DCADは3面図のために形状変更が苦手
  • 2D図面では設計者以外は図面から立体をイメージできない
  • CADオペレーターならば2DCADは3DCADに比べて市場価値は低い
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