管用(くだよう)ねじの種類は豊富過ぎて理解しづらいですよね。
日本で使われる管用ねじは主に以下の種類があります。
- R
- Rc
- Rp
- G
- PT
用途は流体の漏れ防止用と機械接合用があります。
用途に合わせておねじとめねじの選定をする必要があるので、この記事では種類から選定方法までを解説します。
他に管用ねじの使用していてのトラブルや検査方法等を知りたい方はこちらをご覧ください。
管用ねじとは
水、油、空気等の流体の配管接続用に使われるねじが管用ねじです。
管用ネジは主に2種類あります。
1つは管用テーパーねじ、もう1つは管用平行ねじです。
テーパーねじはねじが先端にいけばいく程先細りになっています。(テーパーになっています)
管用テーパーねじに分類されていますがRpねじと呼ばれる平行ねじもあります。
このねじは管用テーパーおねじ(Rねじ)と組み合わせて使われます。
テーパーになっている事でおねじとめねじが密着し気密性を高める事ができます。
高い気密性を生かして流体を漏らしたくない箇所で使われます。
管用平行ねじは先端まで均一の太さになっている管用ねじです。
機械的結合を主目的としています。
配線ケーブルの保護管などで使用する時は気密性が不要なのでこちらを使います。
またオイルゲージにもGねじが使われています。
オイルゲージに加わる圧力はとても少ないのでRねじではなくGねじが使われる場合があります。
気密目的として使いたい場合はねじ先端か口元にパッキンやOリングを入れねじによってパッキンをつぶす事により気密性を保持させます。
JISではJISB0203「管用テーパねじ」、JISB0202「管用平行ねじ」で規定されています。
管用ねじの使い分けと組み合わせ
その為、流体の漏れ防止が優先されます。
漏れ防止に一番適している組合せはR(テーパーおねじ)とRc(テーパーめねじ)の組み合わせです。
テーパーめねじは加工時にタップ深さを気にする必要があるため現場で手作業であける場合は面倒な作業になります。
その為、現場で使用する際はR(テーパーおねじ)とRp(平行めねじ)の組合せにしてあげると作業が楽になります。
気密性が目的ではなく配管のつなぎで使用する場合はG(管用平行ねじ)を使用しましょう。
流体が漏れるかどうかは以下の内容で変わってきます。
- 流体の種類
- 圧力
- 粘度
- 継手のシール材の有無
- シール材の巻き方
- 継手の締結トルク
そのため使用される環境によってまちまちです。
もし不安があるのであれば一度実験をしてから選定してもよいです。
実際に製品が完成して試運転したらオイルが漏れたとなると後処理が大変面倒になるからです。
RpねじとGねじの違い
Rpねじ(管用平行ねじ)とGねじ(管用平行ネジ)は寸法は全く同じです。
ではこの2つの違いは何でしょうか?
それは寸法許容差の違いです。
Rpねじは±の許容差ですがGねじは+側の許容差になっています。
これはGねじは気密性よりも機械的接合を重視するため、ねじが入りやすいようになっています。
しかしながらこの2つのねじは実務上違いがないと言ってもいいでしょう。
筆者の経験では0.5Mpa程度の空気であればGねじを使用しても問題ありませんでした。
空気圧メーカーPISCOからもGねじ用の空気・水用の継手が販売されています。
圧力が掛かる箇所でもいちがいにGねじが使えない訳ではありません。
管用ネジの呼び方
管用ねじは表の呼び方で呼ばれます。
R1/8の管用テーパーねじであれば「管用テーパーねじのイチブ」です。
イチブ、ニブという呼ばれ方は全て8が分母になった時の数字と覚えます。
ヨンブのねじは1/2なので分母を8にすれば分子は4になるので「ヨンブ」と呼びます。
1の場合は「インチ」と呼び2、3となっていくと「ニインチ」、「サンインチ」とインチの前に数字をつけて呼びます。
管用ねじの基準径と基準径の位置
管用テーパーねじの場合はテーパーになっているので外径寸法が測定位置により変化します。
JISでは基準径と呼ばれるねじサイズの基準のおねじの外径(めねじの谷の径)を決めています。
それが表のおねじの外径、めねじの谷の径部分です。
Rねじ(テーパーおねじ)の場合はねじの真ん中あたりが基準径です。
正確にはJISで規定されており表の「aおねじの基準径の位置 管端から」になります。
一方Rcねじ(テーパーめねじ)の場合は口元が基準径となっています。
現場でねじサイズを測定する際はRねじは管端からの距離を測ってからねじの外径を測定しましょう。
めねじの場合はねじの口元で測定しましょう。
ねじが現場で入らなかったり、入り過ぎてしまっている場合はねじゲージを用いてねじに問題がないか確認することもできます。
ねじゲージは以下の記事で解説しています。
管用ねじの図面指示
管用ねじを図面に記入する際は「ねじの種類+サイズ」で指定します。管用テーパーめねじイチブの場合は「Rc1」と指示します。
テーパーめねじの場合は深さの指示をしなくてはいけないの?と考えてしまう方もいると思います。
深さ指示は原則不要です。
なぜならば基準径の位置は口元と決まっているからです。
また最小のねじ部の長さも決まっているのでそれ以下で加工される事はありません。
ただし基準径の位置を変化させて合わさるテーパーおねじの位置を変化させたい設計の場合は基準径の位置も指定しましょう。
何も記載がなければ口元が基準径になってしまうからです。