この記事では機械設計の現場で使われいてる設計タスク管理ツールを紹介します。
機械設計は仕事の複雑さ、属人化しやすい仕事内容のためタスク管理が非常に難しいです。
管理職であれば部の設計タスクを管理できず頭を悩ませている人も多いです。
この記事の結論としては現状最強の機械設計タスク管理ツールはありませんがクラウド型のデータベースが管理のしやすさ、共有性の高さから向いています。
タスク管理ツールの比較
機械設計の現場で使われている設計タスク管理ツールは以下の4つです。
・エクセル
・スプレッドシート
・生産管理システム
・クラウド型データベースアプリ
この中で最も使われているのはエクセルです。
筆者がTwitter内でアンケートを取った結果半分程度の設計現場でエクセルが使われています。
エクセルが入っていないPCはないと言っていいですし、誰もが操作した事があるソフトであり、様々な機能もあるので設計タスク管理で使われていてもおかしくはありません。
しかしエクセルは共有性や検索性が低くチームで情報を共有しタスクを管理するには不向きと筆者は考えています。
筆者は上記4つのなかではクラウド型データベースアプリがタスク管理ツールに最適だと思います。
その理由やエクセル、スプレッドシート、生産管理システムでの設計タスク管理のメリット、デメリットについて解説します。
エクセル
エクセルは上記で述べたように会社のPCにはほぼ100%入っていますし、マクロやVBAを使って好きなようにカスタムできる大変便利なソフトです。
日々の業務で当たり前のように使いますのでソフトの操作についても特別な教育なく誰もが触れます。
この2つがエクセルを設計タスク管理ツールに使う最大のメリットです。
逆に言えばこれ以外のメリットはありません。
筆者は設計タスク管理ツールで大切な事は管理性と共有性の2つだと考えます。
管理者やチーム関係者全員がチームのタスクを簡単に閲覧できどれが重要性が高いタスクなのかを一目で分かる事が管理性の高さです。
閲覧者が考えないといけなかったり、そもそもアクセスに時間が掛かるようなソフトは使いづらく浸透しません。
エクセルがこの点で設計管理ツールに向いていません。
チームでの共有性にも課題があります。
エクセルファイルは社内のネットワークサーバーに管理されている事が多くその場所もルール決めがなかったり、ルールが守られていなかったりする現場が多いです。
更にエクセルファイルが設計タスク毎にある場合は最悪で、必要な設計タスクファイルを探すだけで多くの時間を費やしてしまう事もあります。
検索性にも難があり、ファイル名を検索する事はできますがファイルの中身までは検索する事ができません。
こういった事を考えるとエクセルは設計のタスク管理ツールとしては不向きと言えます。
Googleスプレッドシート
GoogleスプレッドシートはGoogle社が提供している表計算ソフトのことです。
Excelのようにソフトをパソコンにインストールして使用するのではなく、インターネットを介して使用するWebアプリケーションの一種です。
ダウンロードやインストールの必要がなく全て無料でソフトを使う事ができます。
操作方法はエクセルとほとんど同じなのでエクセルを日々扱っている方であれば問題なく使用できます。
スプレッドシートの最大の特徴としては共有性の高さとアクセスのしやすさです。
誰もが同時に編集する事が可能ですし変更の履歴も残すことができます。
ファイルはクラウド上に保管されているので会社のパソコン以外にもスマートフォンからでも容易にアクセスでき、編集する事も可能です。
在宅勤務時もストレスなく操作できます。
共有性の高さはエクセルよりも数段上ですが設計のタスク管理ツールとしては使いづらいです。
機械設計の仕事は設計途中にどんどんタスクが増えていく性質があり、それが1つの機械だけでなくいくつかの機械に共通した課題である事も多いです。
そうなるとスプレッドシート(エクセルでも同じですが)のファイルをいくつも用意するか、1つのファイルの中に様々なシートを作りリンクをさせる必要があります。
この作業を自動化させるのは大変ですし手動で人がリンクを張ろうとすれば抜け漏れが発生します。
こういった事を考えるとスプレッドシートも設計タスク管理ツールには適していません。
生産管理ソフト
エクセルやスプレッドシート以外では製造業でよく使われている生産管理ソフトで設計のタスク管理をする方法があります
生産管理ソフトは製造業において、計画、生産、販売、在庫、原価計算、品質などを統合的に管理するパッケージングソフトです。
メーカーであれば必ず導入されてると言っていいでしょう。
有名なソフトであれば株式会社テクノアが販売しているTECHSや株式会社エクスのFactory-ONE 電脳工場MFがあります。
生産管理システムを設計のタスク管理ツールとして使用する利点は大日程のスケージュール管理のしやすさです。
生産管理システムに登録されたスケジュールで工程管理を行えばどの仕事がどれくらい遅れているかを一目瞭然で管理者は判断することができます。
ただしデメリットも多くあり、生産管理システムは設計タスク管理ツールではないので検討した設計内容を残すことができません。
そのため工期のスケージュール管理ができてもタスク管理を行い、今後の設計に生かすPDCAを回すには向いていません。
また高価でありライセンス本数にも制限がある企業が多いとは思いますので共有性やアクセスの容易さは低いです。
生産管理システムも設計タスク管理ツールとしては向いていないでしょう。
クラウド型データベース
筆者がオススメする設計タスク管理ツールはクラウド型データベースです。
クラウド型データベースとは、クラウド環境下で利用できるデータベースのことです。
自社にサーバーを設置してファイルを管理するのではなくクラウド上にデータベースを設置してそこでファイルを管理します。
有名なクラウド型データベースはサイボーグ者のkintone(キントーン)があります。
データベースを使えば従来様々なフォルダにあったファイルを一元管理する事ができます。
またファイルの文字情報だけでなくファイルの中身まで検索できるので、探し物時間を大幅に短縮する事ができます。
設計タスクをクラウド上に作ったアプリで管理をすれば誰もが簡単にタスクを把握でき、日々増減するタスクを入力するのも容易になります。
チームで設計タスクを管理するのであればエクセルやGoogleスプレッドシートよりも数段優れています。
実際に計算書や設計資料をkintoneで管理している企業さんもあります。
デメリットとしては導入に費用が掛かる点と自社に合わせてシステムやアプリをカスタマイズする必要がある点です。
現状のタスク管理ツールの弱点
設計タスク管理ツールとしてはクラウド型のデータベースが優れています。
しかし弱点も当然あり、筆者は以下の2点がクラウド型データベースを含めて既存の設計タスク管理ツールでは難しいと考えています。
・図面(3Dも2Dも)をデータとして読み込ませる事ができない
・複雑なアセンブリ管理が難しい
図面については設計タスクを管理したり、設計検討を進める上で関係者で共有したい場面は多くあります。
言葉で説明するよりも絵にしてしまった方が早く、正確に伝わるからです。
しかし現状は3Dデータを扱うにはCADが必要になるためスクリーンショットを撮り、図として貼り付ける事が多いと思います。
筆者もよくメールで営業や製造部とスクリーンショットを撮ってエクセルに貼り付け設計内容について検討しています。
これは非常に手間の掛かる作業です。
また複雑なアセンブリ管理も現状の設計管理ツールでは難しいです。
例えば設計検討Aの内容はアセンブリAにもBにも関わってくる時に検討AはアセンブリAに紐づけさせるのかBに紐づけさせるのか迷います。
両方に紐づけさせればいいのですがそれをやるのはエクセルやその他のツールでもかなり難しいか面倒です。
しかし紐づけをしなければ設計での抜け漏れが発生し製造段階において部品が不足し特急で発注する羽目になったり、逆に二重発注をしてしまい予算オーバーになる可能性もあります。
そのため機械設計管理ツールとしては現状「最高のツール」はないと思います。
最高ではないかもしれませんがクラウドデータ型データベースはカスタマイズも可能ですので自分のグループに合ったタスク管理ツールにカスタムして使うのが良いです。
例としてはkintoneのサイトでファイル管理例やプロジェクト管理例がのっています。
この記事のまとめ
機械設計のタスク管理ツールとしては以下の4つがあります。
- エクセル
- Googleスプレッドシート
- 生産管理ソフト
- クラウド型データベース
この中で一番使われているのがエクセルですが管理者にとっては複数の課題を一目で見るのが難しく、共有性も低いので使いづらいです。
2022年の段階で最強の設計タスク管理ツールはありませんがクラウド型データベースが一番使いやすいです。