機械設計者が2DCADや3DCADを使って検討図を描いた後に部品図に落とし込んでいく作業を部品図へのバラシ作業と言います。
バラシ作業は製図とも呼ばれ機械設計業務の中で大切な作業の一つです。
製図作業で大切になるのが「寸法記入」、「寸法公差」、「表面性状」の3つです。
この3点に気をつける事により正しい図面を作成する事ができます。今回の記事ではこの3点について解説します。
部品図とは
部品図とは機械を構成している1つ、1つの部品を製作する為に必要になる設計図です。
部品図は「知識を持った加工者であれば誰でも同じ物が作れる」必要があります。その為に製図のルールは日本では1つしかありません。
それがJISと呼ばれる規格です。製図ではJISに則って描く必要があります。独自のルールで描いてはいけません。
逆に言えばJISに則っとってさえいれば製図としては間違いありません。
寸法記入
部品図にはまず計画図から必要な部品を抜き取り形状を3面図に落とし込みます。
通常は正面図、右側面図、平面図と呼ばれる形状を3方向から見たものを描きます。
その後、描いた形状に寸法を記入する作業が寸法記入です。寸法記入で大切な事は沢山ありますが最も大切な事は寸法基準を明確に定める事です。
基準を取る理由は加工する際に部品に基準がないと正確な加工と検査ができないからです。
金属の塊から部品を作る時に必ず基準面を作ります。基準面から10mm削ったり、基準面から20mm右側に穴を開けると言ったように必ず基準面から工具を動かして加工します。
工具や材料を動かかす時に必ず基準面から動かします。これは旋盤でもフライス盤でもマシニングセンタでも一緒です。
そのため必ず図面上に基準を設定してあげて加工者にここから基準をとりなさいよと指示をする必要があります。
この基準面は部品の加工者ではなく図面を作成する設計者が設定します。基準を設定するためには加工についての知識を持ち「この部品を作成するためにこの順番で加工する」と知っておく必要があります。
寸法公差
寸法公差とは部品図に記入した寸法にどのくらいまでなら仕上がり寸法を許容できますかという「範囲を指定する」事です。
部品を100mmの長さにカットしなさいと図面で指示した時に100.000000000mmに製作することは不可能です。100.1mmと少し長くできたり99.9mmと短くできてしまう可能性もあります。
寸法公差はこのばらつきをどこまでなら許容できますか?と図面に設計者がばらつきの範囲を記入する作業です。
例えば100mmという寸法に±0.05mmと公差を入れると許容できる寸法は99.95mm~100.05mmになります。この範囲から外れている部品については加工業者に不適として再加工を無償でお願いできます。
逆に言えば上記の寸法公差を指定して100.05mmで仕上がっていたら「100mmでできていないから作り直せ!」と文句言っても再製作はしてもらえません。
では設計者の中には厳しい寸法を入れればいいのではないかと考えた設計者もいるでしょう。しかし厳しい寸法公差を図面に入れてしまった場合、部品コストが非常に高くなります。
部品の値段が高くなる理由は
- 製作工数が増える
- 専用の工具が必要になる
- 品質検査の時間が増える
等の理由からです。加工業者としては寸法公差が甘ければ甘いほど製作が楽になり、コストも安くあがります。
公差を入れる際は機械に必要なばらつきを考慮して、部品の精度とコストを天秤にかけて判断しましょう。
表面性状
表面性状とは部品の面の凸凹度を表す数値です。
通常はRaで表記します。Raの値が大きければ大きい程部品の凸凹度が大きい部品になります。
ご想像の通りRaが小さく綺麗な面の方が見た目や接地具合や摺動、どの使い方を考慮しても良い部品になります。
しかし部品製作コストも高くなります。コストが高くなる理由としては寸法公差が厳しい部品を作る際にコストが高くなる理由と同じです。
- 製作工数が増える
- 専用の工具が必要になる
- 品質検査の時間が増える
等があります。そのため値段を安く抑えようとすると表面性状が荒い部品の方がコストを安くする事ができます。
もし見た目だけの理由で表面性状を考慮しようとするのであれば表面処理やヘアライン仕上げといった別の方法もあるのでそちらを検討するべきでしょう。
まとめ
- 寸法記入の際は基準位置を意識する。
- 寸法公差が厳しい程、部品のコストが上がる
- 表面性状は部品の凹凸度を表す
- 表面性状が厳しい程、部品のコストが上がる