機械設計を勉強しようと思っても何から勉強していいのか分からない人が多いと思います。
ネットで「機械設計 勉強」と調べてもオススメの本を紹介してくれるサイトや記事はありますが「どこでどうやって勉強すればいいのか」を具体的に教えてくれる記事は少ないです。
そこで今回は社会人機械設計者の具体的な勉強方法について解説していきます。
すでに機械設計者として働いている方
現在すでに機械設計者であっても勉強しないといけないと感じている人は多いです。
私も機械設計を約4年していますがまだまだ知らない事が多く日々勉強しないと自分が遅れをとってしまうという不安を抱えています。
また自分の将来の事も考えると今ある仕事をただこなしているだけではキャリアアップできずにお金の面で将来苦労してしまうだろうとも予想しています。
だからこそ今の内から勉強をして誰よりも機械設計について詳しくなっていきたいと考えています。
しかし機械設計の勉強と言っても何からやっていいか分からないと思います。
そのためまずは自分にとってどんな事が必要かを真剣に考えてみましょう。
- 材料力学、運動力学、流体力学、熱力学の4力学の知識がない
- ベアリング、ばね、シール等の機械要素品の知識が少ない
- 機械を設計した経験が少ない、もしくは自信がない
- CADの操作が遅い
ここは個人によってまちまちだと思います。
まずは自分にとって何が必要でどんな事を習得したいのかを具体的に考えましょう。
知識面で不安があるなら資格習得
もし設計の知識面で不安を感じていたり、もっと勉強したいという事であれば資格の習得がオススメです。
知識が習得できたかどうかを判断するのは難しく、自分では知っていると思っていても知識が抜け落ちている事が多いからです。
そのため機械設計に関する資格試験を受験し合格する事により知識が習得できたと具体的に言える(自信がもてる)状態にする事が大切です。
機械設計に関する資格試験は次の2つです。
- 機械設計技術者試験
- 技術士試験(機械)
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験は一般社団法人 日本機械設計工業会が実施する技術力認定試験です。
機械設計で必要な知識が全般的に出題されます。
1級、2級、3級と分かれており1級が一番難易度が高く、3級が一番難易度が低いです。
若手の設計者や機械設計の知識について不安がある方は3級。ある程度実務経験がある方は2級を受験される事をオススメします。
機械設計技術者試験3級と2級の対象者と出題項目は以下の通りです。
【機械設計技術者試験3級】
【対象者】
機械や装置の詳細設計の補佐、ならびに関連する製図等の業務を行なえる能力に達した技術者、または機械設計全般の基礎知識を習得した学生
【出題項目】
機構学・機械要素設計、機械力学、制御工学、工業材料、材料力学、流体・熱工学、工作法、機械製図
【機械設計技術者試験2級】
【対象者】
基本設計に基づき、機械及び装置の機能・構造・機構等の具体化を図る計画設計業務を行なえる能力に達した技術者
【受験資格】
※2級を受験するには受験資格が必要です
【出題項目】
機械設計技術者試験の勉強法はひたすら問題集と参考書を使って独学で勉強してくやり方が効率がいいです。
オススメの問題集と参考書はこちらです。
もし問題集をやっていて分からない事があれば周りの同僚に聞いてみましょう。
周りに相談できる方がいない場合にはTwitterをやる事をオススメします。
分からない事をつぶやけば教えてくれる人が現れてくれる事が多いです。
私もTwitterをやっているのでもし分からい問題や聞きたいことがあれば直接連絡頂ければ回答する事ができます。
私のTwitterアカウントはこちらになります。
機械設計技術者試験について更に詳しい事を知りたい方はホームページがありますのでそちらで確認する事ができます。
技術士試験(機械部門)
私がオススメするのは技術士試験(機械部門)を受験することです。
【技術士とは】
技術士は、国によって科学技術に関する高度な知識と応用能力が認められた技術者で、科学技術の応用面に携わる技術者にとって最も権威のある国家資格です。
出典:日本技術士会
技術士は高度な知識と応用能力が持つもののみが国から与えられる資格です。
一般的に知られている資格ではありませんが技術者の中では最高峰の資格です。
そのぶん合格率も低く令和元年度技術士第二次試験(機械部門)の合格率は19.4%でした。
二次試験というのは一次試験を突破したある程度知識がある技術者が技術士になるための最後の試験です。
十分な知識がある技術者でも20%を切る合格率ですので試験の難しさが分かります。
技術士になるためのステップとしては一次試験に合格した後、修得技術者となり実務経験を積んだ後、二次試験を受験する事になります。
【技術士になるためのステップ】
引用:日本技術士会
技術士になるにはとてもハードルが高いですが第一次試験であれば合格率が50%程度となっています。
レベルも大学の工学部卒業程度のの知識のためしっかりと勉強をすれば合格する事ができます。
専門科目として材料力学、機械力学、制御/熱工学、流体工学の知識が広く求めらるので一次試験の勉強をする事により機械設計者として大切な「工学」に関する知識を習得する事ができます。
上記で説明した機械設計技術者試験に比べるとハードルは高いですが将来技術士になって「企業内技術士」や「技術コンサルタント」になりたい方はこちらを受験する事をオススメします。
技術士試験(機械部門)一次試験の概要は以下の通りです。
【技術士試験(機械部門)一次試験】
【出題項目】
1.基礎科目
科学技術全般にわたる基礎知識出題分野(1)~(5)のとおり
(1) 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
(2) 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
(3) 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
(4) 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
(5) 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
2.適性科目
技術士法第四章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性
3.専門科目
材料力学/機械力学・制御/熱工学/流体工学
出典:日本技術士会
もし技術士試験(機械部門)一次試験を受験する方はこちらの問題集がオススメです。
私はこの2つの問題集をひたすらこなしています。
専門的な知識や実技に不安があればポリテクセンター講習
機械設計者として実務をしていると「これってどうゆう事なんだろう?」と疑問が出てくることが多いです。
私の場合だと次のような事を思う事があります。
- 設計ってそもそもどうやって進めていけばいいんだろう
- 3DCADのアセンブリのやり方に正解はあるのだろうか
- フライス盤ってどんな加工ができるの?
- 溶接って実際にどんな風にやっているの?
- PLCの勉強もしてみたい
こういった悩みを安価で解決しくれるのがポリテクセンターで実施されている在職者向けの職業訓練です。
【ポリテクセンターとは】
ポリテクセンターとは求職者の再就職を支援するための職業訓練、中小企業等で働く方々を対象とした職業訓練や人材育成等の支援を行っている公共職業能力開発施設です。
ポリテクセンターは独立行政法人が運営している公共の職業能力開発施設です。
そのため講習費用がものすごく安いのが特徴です。
企業に研修をお願いすれば数十万円の費用が発生する場合が多いですがポリテクセンターの講習では2万円前後で講習を受ける事ができます。
内容もとても実践的なものが多く実務で使える講習がたくさん用意されています。
一例として大阪にあるポリテクセンター関西の2021年度の講習の一部を記載します。
- 設計プロセス実践
- 設計に活かす3次元CADソリッドモデリング技術 《使用ソフト:SolidWorks》
- 構造強度設計のための材料力学
- プラスチック射出成形品の設計
- フライス盤加工技術(溝・側面加工編)
- 設計・施工管理に活かす溶接技術
- 油圧実践技術
- 三次元測定技術
- 有接点シーケンス制御の実践技術
- 制御盤設計・製作技術
- シーケンス制御による電動機制御技術
- 実践的PLC制御技術《使用PLC:三菱FX》
自分の悩みを解決してくれるピンポイントの講習があると思いますのでぜひ探してみて下さい。
ポリテクセンターは各都道府県に1カ所以上設置されています。お近くのポリテクセンターについては下記のリンクから探してみてください。
場所によって講習内容も変わってきます。
お住いの場所に関係なくどのポリテクセンターでも講習は受ける事ができます。
自分が受けたい講習が近くのポリテクセンターにない場合は別のポリテクセンターののホームページを見てみて下さい。
ポリテクセンターの講習を受ける事の最大のメリットは講習の先生と名刺交換ができることです。
先生は「企業の技術者」、「ポリテクセンターの技術職員」等の技術者として1流の方々です。
その人達と名刺交換ができると、講習終了後でも連絡が取れ、機械設計での悩み事について気軽に相談することができます。
ポリテクセンター受講の注意点は講習開催日
ポリテクセンターでの講習を受講する際の注意点としては開催日です。
講習のほとんどが平日の日中に開催されます。
そのため現在働いている方であれば有給を習得するか、会社の研修の一環として受講する必要があります。
私がオススメする受講のやり方としては上司に掛け合って会社研修の一環として受講させてもらう事です。
費用も数万円程度と大きな金額ではないので比較的上司の方も行かせやすいと思います。
内容も実践的ですので実務に直結し、個人の能力アップに間違いなくつながるので上司に会社負担で講習を受けさせてもれるよう掛け合ってみましょう。
現役の機械設計者へのオススメ本とCADの記事
ここまですでに機械設計者として働いている方に向けて資格習得とポリテクセンターでの講習を紹介しました。
どちらも機械設計者がレベルアップするためにやっておきたいところですが時間と費用が掛かってしまうため今すぐ取り組めない方もいると思います。
そういった方に向けた機械設計を勉強するための参考書をこちらの記事で紹介しています。
- 正しい図面の描き方を学ぶための本
- 機械設計の進め方が分からない時に読む本
- 実務レベルで使える機械設計の知識を体系的に学ぶ本
- 機械設計のアイディアが出てこない時に読む本
このような本を紹介しているので興味があれば読んでみて下さい。
また機械設計者には必須のCADのスキルについての記事も書いてあるのでCADのスピードを高めたり、家で2DCADを学習したいという方はこちらの記事を読んでみて下さい。
これから機械設計者になりたい社会人
機械設計者の多くは工業高校、高専、大学の工学部で機械や電気の知識を学んできています。
そして機械設計者を採用しようと思っている会社も機械や電気についてある程度知識があったり経験がある方を採用します。
なぜなら機械設計者は専門的な知識を多く必要とするため知識や経験がない方を1から教育するには多大な時間と費用が発生するためです。
そのため、これから未経験で機械設計者になりたい方は「ある程度の専門的な知識が必要」と考えておく必要があります。
今経験がなくても、知識や実技の経験を積めば採用してくれる会社はあります。
特に今は少子高齢化の時代のため、若い働き手が不足しています。
日本の平均年齢は48歳であり、多くの会社で若い機械設計者を採用したいと考えています。
そのためちょっとした知識や機械の技能を経験するだけで機械設計者になれる可能性は大きな時代と言えることができます。
ポリテクセンターで求職者向け職業訓練を受ける
機械についての知識やこれまで機械関係の仕事に就いた経験がない場合はポリテクセンターで求職者向け職業訓練を受ける事をオススメします。
【ポリテクセンターとは】
ポリテクセンターとは求職者の再就職を支援するための職業訓練、中小企業等で働く方々を対象とした職業訓練や人材育成等の支援を行っている公共職業能力開発施設です。
びわ湖放送さんが紹介しているポリテクセンター滋賀の様子がポリテクセンターの雰囲気を表しているので参考に見てみて下さい。
未経験者がポリテクセンターで機械設計を勉強する際の概要を以下にまとめてみました。
コース名 | CAD機械設計科 |
習得できる技術 | 機械製図 2次元CADの使い方と設計 3次元CADの使い方と設計 材料力学 機械要素設計 CAE解析 機械加工 |
期間 | 6カ月 |
時間 | 平日 9:00~15:10 |
費用 | 8,500円 |
修了後の就職率 | 90.7% |
働ける職種 | 機械設計 CADオペレータ CAE解析 |
対象者 | ハローワーク(公共職業安定所)に求職申込をされている方で、公共職業安定所長の受講指示、受講推薦又は支援指示を受けられる方 |
ポリテクセンターで求職者向け職業訓練を受けるメリットは格安で技術を習得できる点です。
例えばポリテクセンター関西のCAD機械設計科6カ月間のコースで8,500円の費用のみで済みます。
これはかなり破格です。通常であれば50万円以上費用が掛かってもおかしくありません。
また失業保険を受けている方であればそのまま失業保険をもらいながら受講できるので生活費の心配がなく学ぶ事ができます。
ポリテクセンター関西ではCAD機械設計科以外でも
- CAD/NC技術科
- ものづくりサポート技術科
この2つの科でCAD技術や機械設計について学ぶ事ができます。
詳しくはポリテクセンター関西のホームページを参照して下さい。
ポリテクセンターは各都道府県に1カ所以上設置されています。お近くのポリテクセンターについては下記のリンクから探してみてください。
職業訓練への応募方法と補助金等の費用についてはこちらのホームページに詳しく記載しております。
求職者向け職業訓練を受ける時の注意点
求職者向け職業訓練を受ける時の注意点が1点だけあります。
それは現在企業で働いている方は受講できない事です。
受講時間も平日は毎日朝から夕方まであるので現実的に働きながら受講するのは難しい人が大半だと思います。
そのためポリテクセンターでの職業訓練を受ける場合は会社を辞める必要があります。
職業訓練中は失業保険も受給されるので生活費が困る事はないと思いますが働きながら機械設計について学びたい方は
- CADスクールで勉強する
- 企業で訓練を受ける
このどちらかを選択する必要があります。
CADスクールで勉強する
上記で説明したように未経験の社会人が機械設計者になろうと思ったらポリテクセンターで求職者向けの職業訓練を受けるのが最も良いです。
習得できる技術と習得に掛かる費用のコストパフォーマンスが大変優れているからです。
しかしポリテクセンターで職業訓練を受けるためには会社を辞める必要があります。
そのため
- 機械設計者になりたいけど自分に向いているか不安
- 今の会社を簡単には辞められない
こういった方には会社を辞めてまで職業訓練を約半年受ける事は難しいと思います。
もし職業訓練を受ける事が難しい方は民間が運営しているCADスクールに通われる事をオススメします。
CADスクールでは先生がマンツーマンもしくはそれに近い形でCADの使い方を教えてくれるスクールです。
例えば大手のCADスクール「Winスクール」の未経験者向けのCADコースの概要は以下のようなものです。
コース名 | AutoCAD+実践 |
習得できる技術 | 機械製図 2次元CADの使い方(AutoCAD LT)と設計 |
学習時間 | 150分×20回(50時間) |
費用 | 授業料:196,000円 入学金:18,000円 教材費:7,000円 |
こちらはAutoCAD使い方と機械部品の作図や組立図の作成が学べるコースです。
費用についてはポリテクセンターに比べると高額ですがポリテクセンターにはないメリットがあります。
- いつもで入学が可能
- 自分のペースで受講できる
- オンラインでの受講も可能
ポリテクセンターの場合は入学時期が決まっています。そのためすぐに勉強を始めたいと思っても入校時期を待たないといけません。(通常は年2回か1回)
しかしCADスクールの多くはいつでも入校可能な場合が多いです。
自分が勉強を始めたいと思った時にすぐに開始できる事がメリットの1つです。
また授業の時間を自分で選択でき平日の夜や土日でも受講できるスクールが多いのも特徴です。
そのため働きながらでもCADや機械設計について学ぶ事ができるので機械設計をやってみたいけど自分に向いているか分からないという方に向いています。
スクールで機械設計をやってみて向いているなと思えば転職をすればいいですし、向いていないと思ったら今の仕事を続けてみるという選択をする事ができます。
今はオンラインでも受講できるスクールが多いのでより時間や場所に関係なく学習する事ができます。
CADスクールに興味がある方はWinスクールのホームページを参照下さい。
教育訓練給付制度でCADスクールを安く受講できる
CADスクールは安いコースでも20万円近くするので高額ではあります。
しかし今は教育訓練給付制度といって全講座費用の最大20%が支給される国の制度があります。
教育訓練給付制度とは
「教育給付制度」とは、一定条件を満たす対象者が厚生労働大臣の指定する教育訓練講座を受講し、修了後に全講座費用の最大20%(上限10万円)に相当する額がハローワークから支給される制度です。雇用保険に1年以上加入された方であれば誰でも利用可能です。
出典:Winスクール
CADや機械設計に関する講座の多くも教育訓練給付制度の対象になっているのでちょっとでも安く費用を済ませたい方は積極的に利用しましょう。
未経験でも機械設計者として採用してもらう
学校で機械を勉強していない、実務の経験もないそんな方が機械設計職に就く事は大変難しいです。
なぜならば機械設計は専門的な知識や数学、物理の素養が求められるので、そういった知識が全くない方を採用すれば教育のコストが大きく掛かってしまうからです。
しかし企業の業態や規模を絞っていけば完全未経験でも機械メーカーや設計事務所に採用される可能性は十分あります。
技術派遣の仕事に就く
技術派遣とは技術者は派遣会社と雇用契約を結び派遣会社の社員になりますが実際はメーカーや設計事務所に派遣され、派遣先の指示に沿って仕事をする事です。
技術派遣は業界未経験者や経験が浅い方でも積極的に採用してくれます。
なぜなら派遣会社としては1人でも多くメーカーに技術者を派遣する方が儲かるです。
ですが未経験の方は「俺って未経験なのにメーカーに行って大丈夫なのか?」と心配される人もいると思います。
もちろん機械の知識やCADの操作が分からないのに派遣される事はありません。
多くの派遣会社では入社後すぐに研修を行ってからメーカーに派遣します。
またメーカーでもOJTを実施してくる会社が多いです。
OJTとは、「On the Job Traininng」の略称で、新人や未経験者に対して、実務を体験させながら仕事を覚えてもらう教育手法です。
メーカーでは図面の描き方やCADの使い方をOJTしてくれる場合が多いです。
そのため完全に未経験であっても技術派遣の会社に入社する事ができれば機械設計者になれる可能性は高いです。
技術派遣会社に入社するためには転職サイトや転職エージェントを通す事が一般的です。
エンジニア向けの転職方法を分かりやすく解説している記事があるのでそちらを参考に技術派遣会社に応募してみて下さい。
注意点として技術派遣の中には機械設計者としてではなくCADオペレーターとして働かされてしまう場合があります。
CADオペレーターは機械を設計するのではなく図形のモデリングや3DCAD図面から2DCAD図面への落としこみがメインの業務になります。
そのような仕事でも良い場合は別ですが機械設計をやりたいという方は技術派遣会社での面接や実際の派遣前に担当者に機械設計ができるか確認しておきましょう。
社員数が少ない企業で働く
大手機械メーカーが完全未経験の方を設計士として採用する可能性はほとんど0に近いです。
しかし企業規模が小さい会社であれば未経験でも採用される可能性があります。
今の時代は人手が不足しており特に社員人数が数名から数十名規模の会社は年中人不足に悩まされています。
特に若い人材は不足しており将来の会社の核になってくれる人がいればすぐにでも欲しいと思っている経営者は多いです。
そのため30歳以下の若くてものづくりに対してやる気のある方であれば未経験でも雇ってもらえる可能性はあります。
ただしすぐには設計はやらせてもらえず最初は現場で組立実習をして機械について学ぶ事が多いです。
ある程度会社の機械と機械全般の知識も覚えてきた段階で設計をやり始めることになります。
弊社の新人設計者は、国際コミュニケーション学部です。組付を1年やって、図面書き1年ですが、どんどん成長しています!3Dも2Dも油圧も機械も。OJT教育をしっかりやるのも大事だと思います。
— 3代目(中小企業) (@hydraulicpowerH) March 10, 2021
未経験でも設計者として採用してくれる会社を見つけるのは簡単ではありませんが探せばきっとあるはずです。
転職エージェント、転職サイト、ハローワーク全てのネットワークを駆使してぜひ探してみて下さい。
これから機械設計者になりたい人が持っておくべき本
これから機械設計者になるために勉強をしていこうと思っている人が持っておくべき本を2冊紹介します。
機械設計者は必ず持っている機械設計製図便覧
私の会社には機械設計者が40名程いますがそのうちの9割は持っている程、機械設計者にとっては必須の本です。
イメージとしては機械の辞書です。
部品の選定、図面の作成で分からない事があればまずは機械設計製図便覧を開いて答えがのっていないかを確認します。
JISと呼ばれる日本の産業製品に関する規格に基づいているので、この本に従っていれば間違いはほぼないと言ってもいいです。
機械設計者であれば持っておくと大変便利な本なのでぜひ買っておきましょう。
値段が安くはないので中古品でも良ければメルカリやヤフオクを使ってもいいです。
ただしJIS規格は毎年改定されるので、できるだけ最新の機械設計製図便覧を買うようにしましょう。
正しい図面の描き方を学ぶための本
次に紹介する本は正しい図面の描き方を学ぶための本です。
機械設計者になろうと考えている方であれば図面を描く事は必須になります。
その時に参考になるのが初心者のための機械製図(第5版)です。
この本は図が豊富で分かりやすいです。
機械製図を教える本の中には文字ばかりで例が全く描かれていない本があります。
そういった本は実務では使う事ができません。
実務で使える本は本を見て真似すれば正しい図面を描く事ができる本です。
初心者のための機械製図には「図形の表し方」、「寸法の表し方」、「公差とはめあい」その他どの内容でも例が多数載っている所が良いです。
そのため図面の描き方で困った事があればこの本を辞書代わりにして真似してみましょう。
初心者のための機械製図を含めて機械設計のおすすめ本を紹介しています。
いずれは必要になる人もいると思いますので先に持っておいてもいいかもしれません。