オムロンやキーエンスのセンサのカタログを見ていると様々なセンサが紹介されています。私は機械設計を始めて4年目ですがまだまだ知らないセンサがあります。
センサの中で特に使用頻度が多いセンサは光電センサとファイバーセンサではないでしょうか?FA業界ではワークの有り無しをこのセンサで確認する事が大半です。
光電センサとファイバーセンサ、名前は違いますがこの2つの違いについて理解できていますか?正直私も100%理解できていませんでした。
その為、初歩からこの2つのセンサについて勉強したので今回皆様に紹介します。
光電センサとファイバーセンサの違い
光電センサは光を出す部分(投光部と呼びます)と光を受ける部分(受光部と呼びます)から光が入ってくる、入っていないで物のあるなしを判別します。
これはファイバーセンサでも同じ仕組みです。
では光電センサとファイバーセンサは何が違うのでしょうか?
一言で表すと光の通り道が銅線かファイバー線の違いです。
違いを図で表します。
どちらのセンサもセンサアンプからは光が出ています。その光が銅線を通っているのが「光電センサ」、ファイバ管を通っているのが「ファイバーセンサ」です。
オムロンのホームページには
ファイバセンサとは
ファイバアンプからの光をファイバユニットで伝送することで、狭い場所などでの検出を可能とした光電センサです。
「光電センサ」と記載があるのでファイバーセンサも光電センサの一種と考えて良いです。
キーエンス製でで光電センサとファイバーセンサを比較してみる
次に光電センサとファイバーセンサを使用する上でどのように違いがあるのかを比較します。
良く言われているファイバーセンサのメリットは
- 狭い場所でも問題ない
- 環境が厳しい(温度、振動、ノイズ)場所でも動作する
光電センサのメリットは
- 検出距離が長い
- どんなワーク(検出体)でも識別できる
こういった事が一般的には言われています。しかし実際にどのくらい違いがあるのかはこれでは分かりづらいのでキーエンスのホームページにあった仕様書を元に比較してみました。
この中で性能に関わる「検出距離」と「最小検出物体」はほとんど変わりませんでした。またこれらは使用するセンサヘッドでいくらでも変更できるので私は気になりません。
私が気になったのはケーブル曲げ半径です。まずケーブル曲げ半径とは「ケーブルを曲げた時に性能を損なわない曲げ半径」の事です。詳しくはこちらのサイトに載っています。
ファイバーセンサの曲げ半径は仕様書に記載がありました。しかし光電センサの曲げ半径については記載がありませんでした。
キーエンスのホームページには記載がありませんでしたがオムロンのホームページには記載がありましたので抜粋します。
コード外径はΦ1.7mmでしたのでR5.1mmが最小曲げ半径と考えて良いと思います。
詳しく知りたい方はキーエンスの営業マンやWebから問い合わせてみましょう。
曲げ半径はやはりファイバーセンサの方が性能がいいです。きつい曲げにでも対応できるのでアンプから離れていてどうしてもきつい曲げを施す必要がある場合はファイバーセンサを選択します。
価格は光電センサが5,600円、ファイバーセンサが15,300円と3倍近くも価格が違いました。これは非常に大きな差です。センサが1個であれば気にならないかもしれませんがそれが100個、200個と違えばとても大きな金額の差になります。
ファイバーセンサの取り扱いは注意が必要
ファイバーセンサを使用する時に注意しなければいけない事があります。それはファイバー線の扱いです。
ファイバー線は少しの力を掛けただけで光量がガクンと落ちます。私も何度か経験をしました。ファイバー線をアンプに取り付けるのに苦労して何度もつけ外しをしていると光量が元々MAXの9999あったものが2000まで落ち込みました。
原因はファイバーに力を掛けてしまったためケーブルの先端がほんの少しひしゃげてしまったからでした。
強引に力を掛けなくても光量が落ちてしまうので私はそれ以来ファイバーセンサを扱う時は慎重に慎重を重ねて作業をしています。
線の長さを調整する時にはニッパーやハサミでは決して切ってはいけません。ファイバーの断面が綺麗にならないと光量を落としてしまうからです。
ファイバーセンサを購入すると必ず専用のファイバーセンサカッターがセットでついてくるのでこちらを使用して切断します。
一度使用した穴は再度使用してはいけません。刃が傷んでいるため再度使用するとファイバーの断面が綺麗に切れません。
光電センサとファイバーセンサで迷ったら安い光電センサを使用する
私は光電センサとファイバーセンサで迷ったら光電センサを使用します。理由は2つです。
- 価格の安さ
- ファイバーセンサの取り扱いの難しさ
価格は言うまでもなく光電センサが安いです。その為光電センサが使えるのであれば特別な理由がない限り光電センサを使用します。
ファイバーセンサは上記で説明したように取り扱いを慎重にしないとすぐに光量が落ちでセンサとして機能を果たせなくなります。
私達機械メーカーで機械を出荷する時は良くてもお客様の工場でお客様が保守、メンテナンスをする時にファイバーセンサは扱いに非常に苦労します。
ユーザーの立場に立ってみると安くて丈夫で扱いやすい光電センサを設計者である私は選択します。
光電センサとファイバーセンサ勉強用リンク
光電センサとファイバーセンサについてはセンサメーカーでオムロンのホームページで勉強できます。ご興味がある方は是非
以上