機械設計者が部品加工業者を選定することは少ないです。業者の選定は設計部門ではなく購買部門の仕事です。
しかし設計者から購買部門へ加工業者を指名する場合もあります。
その為、機械設計者に好かれる事は加工業者にとっては大切です。
設計者に好かれる業者のポイントは3つです。
- 納期が早い
- 聞いたら加工方法を丁寧に教えてくれる
- 図面通りの品物を納めてくれる
今回の記事では設計者がどんな視点で加工業者を見ているのかを解説します。
機械メーカーの仕事内容については以下の記事で解説しています。
納期が早い
設計者にとって1番大切なのが納期を1日でも早くしてくれる加工業者です。
機械設計は納期勝負の仕事です。お客様からは1日でも早く機械を納めてくれと依頼があります。
設計者としては断りたいですが営業が「やります」と言えばやらざるおえない事が多いです。
そうすると設計者の頭の中で工程を考えます。
設計、部品加工、組立、検査をどのような日程で進めれば納期に間に合うかを逆算します。
ここで部品加工を1日でも早く終える事が計算できたら大変助かるのです。自分の仕事である設計に余裕ができるからです。
無理をして残業や休日出勤をする必要がなくなります。また時間に余裕があるので心にも余裕が生まれ設計間違いも減らす事ができます。
納期が早い会社(当然、品物は図面通り仕上がってるのが前提)は機械設計者には大変喜ばれます。
聞いたら加工方法を丁寧に教えてくれる
機械設計者で特に若手設計者は機械加工について知らない事が多いです。
なぜなら今までに習った事がないからです。設計者の多くは工学部をでていますが必ずしも機械工学を学習してる訳ではありません。
電気学科や情報学科の人もいます。文系出身の機械設計者も存在します。
その人達にとっては部品がどのようにできあがるのかをイメージする事ができません。
昔は会社の新入社員教育でじっくり部品加工について学べました。工場に設計部門と部品加工部門があったためです。
しかし現在はそういった会社は少なくなりました。設計部門は本社に勤務し部品加工は地方の工場で行います。
会社によっては部品加工は全て外注さんにお願いする場合もあります。そうすると設計者は会社で加工現場を見る機会がゼロになってしまいます。
その為、加工についての知識に不安を覚えている若手設計者は多いです。
そんな時に加工について丁寧に教えてくれる加工業者は設計者にとって大変貴重な存在です。
加工業者のホームページに詳しい加工方法が載っていたり、セミナーを開いてくれる業者はまだ少ないです。
また設計者が電話やメールで問い合わせた時に適当にあしらわれる場合もあります。
そういった業者は設計者から見ると付き合いたくないです。
逆に加工について丁寧に教えてくれ、加工コストを下げる場合にはこうした方がいいですよとアドバイスをくれる場合もあります。
そういった業者さんとはずっと仕事をしていきたいなと設計者であれば誰でも思います。
機械設計者の仕事についてはこちらの記事を参照して下さい。
図面通りの品物を納めてくれる
図面通りに納めてくれる事は当たり前の事のように思えますが意外と守られていない場合があります。
寸法が守られていない事は少ないです。ここは日本の加工業者であれば間違いなく守ります。
よくあるのが
・部品に傷がある
・材料に同等品が使われる
この2つが多いです。
部品に傷がある
部品への傷は加工中にキリコが挟まっていたり、輸送中に部品同士が当たり傷がつくパターンが多いと加工業者から聞きます。
駆動部で使われる部品であれば傷はさほど気になりませんがカバー等の外観に関わる部品はとても目立ちます。
機械装置の性能には影響を及ばさなくてもお客様から見えるとマイナスに映る事があります。
そのため設計者や組立部門は傷がある部品を受け入れする事ができないため不適部品として返品します。
そして再製作を依頼しないといけない為、機械組立に遅延が発生してしまうのです。
材料を同等のものを使う
材料については同等品を設計者の許可なく勝手に使われてしまう時があります。
筆者が経験したのは図面ではSUS304を指定していたのにSUS430が使われていた事があります。
磁性が必要だった為にSUS430を指定したのに部品はSUS304が使われていました。
この部品も不適で返品せざるを得なくなり次工程に遅れが発生しました。
加工業者がコストを安くするためであったり、加工しやすい材料を使うのは構いませんが設計者に一度確認して欲しいというのが筆者の希望です。
相談もなしに勝手に材料を図面から変更しそれを納入されても設計者としては認められません。
図面通りに品物を納めるというのは当たり前のようでできていない加工業者さんが多いです。
逆に言えばきっちり図面通りに品物を納めてくれると信頼を置くことができます。
そして失敗できない品物や難しい品物をお願いする機会が増えてきます。
まとめ
- 設計者が加工業者に最も求める事は納期の速さ
- 加工方法を知らない若手設計者は多い
- 丁寧に加工方法を教えてくれる業者さんは信頼できる
- 当たり前だが図面通りに品物を納めてくれることは信頼できる