機械設計

【機械設計はやめとけと言われた方へ】現役技術者が伝える設計のやりがい

【機械設計はやめとけと言われた方へ】現役技術者が伝える設計のやりがい

機械設計の仕事は周りから見ると大変そうと見られる事が多いです。

1日中パソコンの前に座り図面を描き、難しそうな計算をしているイメージがあるからです。

実際にそういった側面があるのも事実です。どんな仕事でもそうですが楽しい事ばかりではありません。むしろ苦しい事の方が多いです。

機械設計の仕事も大変な事が多いですがそれ以上にやりがいや面白さを味わう事ができる仕事だと機械設計の仕事をしていると感じます。

今回の記事では機械設計の仕事の楽しい面と大変な点を書きました。

「自分は機械設計をしたいけど周りからはやめとけと言われている」そんな方に向けて書いています。

同じ機械設計職でも会社によって働き方は様々あります。企業規模の大きさ、扱われている機械、雇用形態によって設計者の働き方は変わります。

それぞれ良い点、悪い点があり人によって合う合わないもあります。自分に合った機械設計士としての働き方を見つける手助けにして頂きたいです。

自分が設計した物が世の中で使われる面白さ

皆さんが機械設計の仕事をしてみたいと思う理由は何でしょうか?

私が機械設計職を志した理由は自分が考えた機械が世の中で活躍したら仕事がとても楽しいものになるんではないかと思ったからです。

高校を卒業して地元の工場で働いている時に工場内で動いている機械を見ていてふと思ったのです。

工場の仕事はあんまり面白くないけど、ここで使われている機械を見てるのは楽しい。もしこういった機械を生み出す仕事ができたら人生楽しくなるんじゃないか

そんな想いをもって大学の工学部に入学しました。大学は職業能力開発大学校、通称ポリテクカレッジと呼ばれる学術的な事よりも実務を学ぶ事に特化した大学に通う事にしました。

その理由は通常の大学の工学部に入学するより試験が簡単だったのと学費がものすごく安かったからです。

ポリテクカレッジでは通常の勉強に加えて機械・プラント製図技能士 機械製図CAD作業2級と機械加工技能士 普通旋盤作業2級の資格も習得しました。

私のこれまでの経歴については以下の2つの記事でも詳しく書いています。

 

 

2021年現在、私は機械設計者として働いています。工場で働いている時に思った機械を生み出す仕事ができたら人生楽しくなるんじゃないかという想いに対する答えはイエスです。

自分が設計した機械、自分の考え方を具現化した物が世の中で働いている姿を見ている時は感動的な気持ちになります。

こういった気持ちになれる仕事は少ないんではないでしょうか。自分が描いた図面の機械が日本中、または世界中で活躍し世の中の人達の助けになっていると心から思える仕事はあまりありません。

毎日新しい事を考え続けられる楽しさ

もう一つ機械設計者として働く面白さの一つに毎日新しい事を考えられる事があります。

機械設計者の仕事は世の中に全くない機械を0から作ったり、既存の機械を更にバージョンアップさせたりするのが仕事です。設計の仕事についてはこちらの記事に書いています。

 

新しい事をやっていくのが仕事なのでルーティーンワークの割合が他の仕事に比べて少ないです。逆にルーティーンワークをやっているようでは他の機械メーカーから遅れをとってしまうのでよくない事とされています。

毎日新しい事ができたり、考える事ができる仕事は限られています。それが堂々とできる機械設計士という仕事は新しい事を考える事が好きな人にとってはもってこいの仕事です。

私と同じ現役で機械設計のお仕事をしている人達も新しい事ができる楽しさを語っています。

周りの人に機械設計はやめとけと言われる理由

楽しさや充実感を味わえる機械設計の仕事ですが当然大変な事もあります。特に実際に機械設計の仕事をした事がない人にとっては楽しさではなく大変な面の方をフォーカスしてしまいがちです。

当たっている部分もあるのですがイメージだけが先行して誤解されている面もあります。ここでは中小企業で機械設計をしている私のリアルな働き方について紹介していきます。

納期に追われ残業が多いのでは?

残業時間については機械設計者は多いです。特に納期が迫っているものは何がなんでもやり遂げなければいけないために残業時間が多くなりがちです。

私のこれまでの経験で一番残業が多かったのが2021年の1月の92時間です。これは休日出勤した時間も含まれています。

もちろんこれが1年中続く事はありません。こんな働き方を続けてしまうと体と心を壊してしまいます。

しかし現実問題として納期が迫っていたりトラブルが発生した場合は残業が多くなる事は覚悟しないといけません。

これは中小企業に勤める私の例ですが大企業で働いていたり中小企業でも残業に厳しい会社は月の残業を制限し45時間以上は働いてはいけないというルールの会社もあります。

そういった会社の場合は土日に出勤したら代わりに平日が休みになったりします。

私が92時間残業した時は全て残業、休日出勤代が給与として払われましたのでサービス残業にはなりませんでした。

92時間は特例中の特例で平均すると月30時間程度です。月によっては10時間いかない場合もあります。

他の設計者さんにもツイッターでアンケートを取りましたが2021年の時代に月50時間を超える人はなかなかいないようです。

責任の割に給料が低いのでは?

給料については会社によりけりなのでなんとも言えない場合が多いです。大企業の方が多いのは当然ですし同じ会社でも業績が良い年と悪い年では大きな差になる場合が多いです。

転職サイトのdodaさんが出しているデータによると機械設計の平均年収は全世代平均で479万円となっています。

doda職種別平均年収ランキング

 

私は中小企業のアラサー機械設計者ですがdodaさんが出しているデータと同程度の年収でした。

2020年機械系エンジニアの平均年収比較doda調べ

機械設計者の年収は他の機械系職種と比べると平均より少し高い程度の賃金です。業務のプレッシャーを考えると割に合わないと考える人もいるでしょう。

私の場合は機械設計の仕事が好きなので好きな事をやらせてもらっている上に他の業種より給料が少し高い事は喜ばしい事です。

設計で問題が起きた時に責任を取る必要があるのでは?

自分が設計した機械が何か不具合を起こした時に責任をとらなければいけないと思っている方がいますが設計者が責任をとる必要は全くありません。

会社内ではもちろんどういった根拠で設計したのかと追及される事はありますが会社のルールを守っている限り解雇になる事はありません。

そもそも機械設計の仕事で図面を描く時に設計者自身の判断のみで図面が出図される事はありません。

※出図とは設計者が描いた図面を加工業者さんや社内の加工現場に提出する事を言います。

通常は先輩が検図をして設計部の課長さんや部長さんが承認する事により初めて出図されます。そのため最終的な責任は承認者が持つ事になります。

設計を失敗したら大変な事になり会社をクビになってしまうのではないかと考えている方も心配する必要はありません。

一日中椅子に座って図面を描いているのってしんどくないの?

機械設計の仕事は1日中パソコンの前で図面を描く事が仕事です。会議や現場に行って作業する事はありますが基本はCADで図面を描く事です。

椅子に座り続ける仕事は体の血行を悪くして腰痛や肩こりを起こしてしまう場合もあります。

しかし工夫によってそれらを回避する事は十分可能です。今は腰痛を防止するデスクチェアーや正しい姿勢を保つための器具も多数販売されているのでそれらを利用すれば健康的な体を維持しながら仕事ができます。

私も入社当初CADをやり過ぎて腱鞘炎になった時があったのですがマウスを変更した事によって腱鞘炎を治す事ができました。その時の記事はこちらです。

 

1日8時間も椅子に座っているのが苦痛では?と思っている人も実際に設計の仕事をしていると集中しないとできないのであっという間に時間は過ぎます。

新入社員の人達も最初は眠そうにしているのですが仕事を与えられると3カ月もしない内に集中して作業をしています。設計の仕事が好きであれば座っている事に苦痛は感じないでしょう。

機械設計職でも働き方は様々ある

機械設計という仕事でも働き方は様々です。

企業規模の大きさ、扱われている機械、雇用形態によって設計者の働き方はまったく変わります。それぞれ良い点、悪い点があり人によって合う合わないもあります。

機械設計職でも働き方は様々ある

安定していて給料も高い大企業の設計職

人気が高い設計職が大企業メーカーでの設計士の仕事です。人気が高い理由は他の同業他社に比べると給料が高く福利厚生も充実していてかつ安定性もあるように見えるからです。

終身雇用が崩壊しかけている日本でもまだまだ大企業の方が世間一般から見ると安定しています。

大手工作機械メーカーの設計職として働いているしぶちょーさんも自身の記事の中で大手機械メーカーの利点についてこう書かれています。

当然ながら大手ならではの良い点もたくさんあります。というか、むしろそちらの方が多いでしょう。

・収入が高い
・最新の設備やシステムが使える
・人材が豊富
・サプライヤや商社とのやりとりが楽

出典:大企業の機械設計者が抱える“闇“

機械設計者として収入が何より大切だと感じられる方は間違いなく大企業のメーカーに就職、転職した方が良いです。

ただし大企業の場合の欠点もありその1つが機械設計の仕事をさせてもらえない点です。新入社員として数年は実業務をできますが在籍年数が長くなれば設計の仕事は派遣設計者の方に振って自分はマネジメントをする立場になってしまいます。

自分が図面を描くよりマネジメントの方がやりたいと思える方であれば良いですが40代、50代になっても図面を描いたり、ものづくりの最前線で実務業務がしたいという方は大企業の設計職は向いていないです。

充実感がある中小企業の設計職

私の働き方が中小企業の機械設計職です。この働き方の良い点は1人の設計者が持つ業務内容が幅広いので技術者としての充実感を持つ事ができます。

機械設計はもちろんですがお客様との仕様打ち合わせ、機械の調整、工場への機械の据え付け、アフターサービス業務をすべてこなす必要があります。

人によっては幅広い知識が必要になるので大変と感じる人もいますが私はたくさんの業務を経験できるので充実感を持つ事ができています。

こういった働き方の場合はお客様との距離感も近いのですぐに仲良くなれお客様からのダイレクトな声も聞こえてくるのでよりモチベーションを高める事ができます。

こういった面は大企業で分業制をしている会社では難しいです。

設計スキルが身につきやすい設計事務所や派遣設計者

機械設計者として設計スキルを速く身につけたいという方は設計事務所や派遣設計者として働く事をおすすめします。

設計事務所やアウトソーシングの派遣設計者は設計作業に特化した業務をこなすことを求められます。メーカーであれば設計者でも設計部門と現場部門の調整やお客様への対応があり設計業務だけを1日中できる職場はほとんどありません。

その点設計事務所の場合は機械を設計し図面を出図する事によりメーカーからお金を受け取っているので商品である図面を描く事(作る事)を何よりも大切にしています。

私が働いている中小企業メーカーの中にも前職が派遣設計者として働いていた方がいますが彼らに共通するのが図面を理解する事とCAD操作の習得がものすごく速い事です。

それだけ設計事務所や派遣先のメーカーで実設計業務を多くこなしてきた証拠です。

もし雑務などやりたくなく、機械設計だけを1日中やっていきたいという方には設計事務所や派遣設計者として働く方法がおすすめです。

機械設計者のリアルな仕事内容が分かるリンク集

最後に機械設計者として働いている方々の生の声が聞けるブログを紹介します。

 

まずは大手工作機械メーカーに勤めるしぶちょーさんが作成された記事です。大企業の機械設計職の実際の働き方について大変詳しく書かれています。大手だったら絶対に幸せな機械設計人生が歩めると考えている方は一度リアルな声を聞いてみて下さい。

 

 

続いては大企業からベンチャー企業で働くようになったリヴィさんの記事です。ベンチャー企業は自由で好きなようにできるというイメージがありますがそうではない部分も当然あります。

考えてみれば当たり前なんですが今いる会社で全く自由が利かずしんどい思いをしている人にとってはベンチャーは天国ではないのかと錯覚してしまいます。ベンチャー企業に就職、転職を考えている方は一度リヴィさんの記事を読んでみましょう。

機械設計者になって心から良かったと思っている

私は大学生の時に何人の先生から「機械設計の仕事は大変だぞ。それよりも生産技術の仕事の方が安定していて残業もそこまでなくて楽だぞ」と言われました。

心が一瞬揺らぎましたが自分が考えた機械を世の中で活躍させたいという思いから機械設計の仕事を選択しました。

機械設計者としてはまだまだ未熟者で毎日失敗も多いです。しかしその中でも私が考えた機構や部品が装置に組み込まれ活躍している場面を見るとこの仕事をやっていて良かったなと思えます。

正直言って楽な仕事ではありません。しんどくて辞めてしまう人も見てきました。しかし私は機械設計者として世の中に貢献できる誇りある仕事ができている事を嬉しく感じています。

この記事を読んで一人でも機械設計の仕事をやってみようかなと思ってもらえたら嬉しいです。もっと詳しく設計士の仕事について知りたい場合はTwitterのDMでご連絡下さい。