【技術者が考える再発防止策】川崎幼稚園園児バス取り残され事件について考える

2022年9月5日静岡県の幼稚園で駐車していた通園バスの車内で3歳の女の子が亡くなってしまう事件が発生しました。

世間でも大きな事件として扱われ幼稚園の園長の不誠実性や園の管理体制の杜撰(ずさん)さに驚かされました。

私はこちらの記事で事件に対する課題を挙げました。

課題の2つが「人に頼らざるを得ないシステム」「紙ベースのチェックシートの運用」でありそれを変えなければ同じ事件がまた発生してしまうと述べました。

この記事ではこの2つの課題を改善し二度と同じ事件が発生しないために技術者の私が再発防止策について考えました。

目次

国の対応

岸田総理大臣は政府として子供の安全を守るための万全の対策を講じるため以下の指示を出しました。

1 送迎バスを有する全ての園に対して緊急点検を実施するとともに、都道府県や市町村の協力を得て、実地調査を実施すること。

2 今回の事案がなぜ発生したのか、どのような問題があったかについて、関係者からのヒアリング等を行い、徹底的に洗い出すこと。

3 こどもの安全対策を強化するため、安全管理マニュアルの整備、登園管理システムの普及、送迎バスの安全装置改修支援など、再発防止に向けて具体的な緊急対応策を、10月中に、とりまとめること。

総理指示事項 (PDF形式:436KB)PDFを別ウィンドウで開きます

これを受けてこども政策担当大臣が議長となり以下の検討課題を挙げていた。

3.主な検討課題
〇バス送迎に当たっての安全管理マニュアル
・ 具体的な手順、日々の活動に活用できるチェックシート
・ 保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部の組織体制
・ 都道府県、市町村による定期的な監査体制・方法
・ 重大事態が生じた際の在園児や保護者等に対する精神的なケア
〇万一の場合、こども自身もSOSを出せるような支援
〇マニュアルの動画配信
〇園児の安全を確保する登園管理システム等の普及
〇園児の安全確保に関する送迎バスの安全装置改修 等

保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部におけるバス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する関係府省会議について (PDF形式:132KB)PDFを別ウィンドウで開きます

10月中には静岡県の特別指導監査や緊急点検の結果、ヒアリング等を踏まえた緊急対策のとりまとめが行わる予定です。

人に頼らないシステム作り

技術者の私はこちらの記事にも書いた通り、人に頼らないシステムづくりこそ再発防止の最大の効果を得る事ができると考えています。

マニュアルの見直しやチェックシートが内閣府の検討課題に挙げられていましたが応急処置的な対策としては有効ですが恒久対策としては不十分です。

なぜならこれらのやり方は保育士さんやバスの運転手の方の個人の力量に依存する行為であり、1つミスがあれば園児の命に関わる可能性があるからです。

日本は超高齢化社会であり保育園・幼稚園で働く方の年齢も上がり緊張感や責任感が気薄になる方も増えると思います。そういった方達が働く園でも十分に安全は担保できるようなシステムを作らないといけないのにマニュアルやチェックシートは全くナンセンスといっていいでしょう。

もし私がこの問題に対して再発防止策を取るのならば内閣府の検討課題にもあった通り登園管理システムの普及をさせるのが一番だと考えます。

しかし既存の登園管理システムにも課題がありますので現在のシステムの概要と課題点について述べます。

既存の登園システム

川崎幼稚園登園システム

川崎幼稚園でも登園システムが使われていたそうですがそもそも登園システムとはどういったものなのでしょうか

これまで紙の名簿で園児の登園、降園を管理していたものをパソコンやタブレットを使い端末でシステム管理するものが登園システムです。

QRコード(スマホ)やICカードをかざしたりタッチパネルから入力するといった方法で打刻をする事により園児が登園になります。そして登園になると保護者に通知が一斉送信されます。例えばおじいちゃん・おばあちゃんが送迎した場合に両親に通知が飛ぶようなイメージです。

また園児の登園管理だけでなく延長保育での保育料計算にも使用できます。

業界最大手のコドモンではすでに12,124の施設で導入されておりコドモン以外にも保育園・幼稚園向けの登園システムは様々あります。

既存システムの課題点

引用元:コドモン

上記のような登園システムは紙の名簿で管理するよりも正確性・情報共有性・保育園や保育士の方の負担軽減の観点で優秀ですしまだ導入されていない施設にも普及させなければいけないと思っています。

一方でこのシステムにも弱点があると私は思っていて、それは登園の有無を園児で確認していない点です。

例えばタブレットによる入力であれば保護者または保育士がタブレットの欄に自由に登園の有無を入力できるので欠席しているにも関わらず登園にしてしまう可能性があります。

他にも別の子と間違えて登園にしてしまうなど人が操作すればミスが生じる事も考えられます。

ではICカードやQRコードではどうでしょうか。既存のシステムではQRコードは保護者のスマホに表示されそれを読み取っているようです。ICカードの場合も保護者が持参してカードリーダにかざしてシステムに読み込ませます。

これの何が問題かというとどちらの場合も園児にタグがついていない点です。園児の有無は園児自身がいるかいないかで確認するのが最も正しいやり方ですので園児にタグ(ICやQRコードをつける)をつけないと意味がないと考えています。

理想の登園システム

川崎幼稚園 理想的な登園システム バス取り残され

ではどのような登園システムが理想的かといえば次のようなシステムです。

  1. 園児にタグをつける
  2. 送迎バスや園の玄関、またはクラスにはタグリーダーを設けこれで登園、降園の管理を行う
  3. 出欠確認や園外活動の点呼もこのタグを使って園児の有無を確認する
  1. 園児にタグをつける

必ずやる必要があるのが園児へのタグ付けです。

園児一人一人にQRコードかICを持たせます。ただし5歳児以下の子供に携帯させるのは難しいので例えば幼稚園着にQRコードをプリントさせたり、足首や手首にリストバンドのよう形でつけるのが良いと思います。

子供ですので汚したり水につけてしまう可能性があるのでそういった事にも負けないタグや方法を考える必要はあります。

  1. 各所にタグリーダーを設ける

送迎バスや園の玄関、クラスにタグを読み込むためのリーダーを設けて園児が登園したら読み込ませます。もしRFIDタグであれば一人一人読みにいかなくても「大人数をまとめて」、「離れたところから」でも読ませる事ができます。

そのため園の様々な場所に設置しておけば園児がどこにいるかを簡単に把握できます。園児が玄関から勝手に出ようとしたら警報が鳴るような使い方もでき園児が行方不明になる事を抑制する事ができると思います。

  1. 出欠確認や点呼もタグを使って行う

登園・降園だけでなくクラスでの出欠確認や園外活動での人数チェックもこのタグを使います。

保育士さんの人数確認は必ずタグを使い園児本人がいるのかを確かめます。これをシステムで監視し、例えば登園しているのにクラスの出欠確認時にいなかったら園長や他の職員、保護者のスマホに発報して危険を知らせます。こうする事で担当の保育士だけでなく他の職員や保護者を含めて全員で抜け漏れがないかのチェックをする事が可能になります。

これが紙媒体の名簿やチェックシートを使うシステムと登園システムを利用するシステムの最大の違いであり大きなメリットであると考えます。

システムを導入する為の課題

私が上記で述べたようなシステムを導入するためにはいつか課題があります。主には2つあると考えており「導入費用」「保育園・幼稚園の理解」です。

費用については当たり前ですがシステムを導入するにはお金が掛かります。それをどこが負担するのかを議論しないといけません。国、市町村、保育園や幼稚園、保護者。もちろん1つではなくみんなで少しづつ負担する事になると思います。

長期的に見れば登園システムを導入すれば今まで紙と電話を使って管理していた面倒なシステムから脱却でき園の運営や保育士さんの負担を減らす事ができると私は考えています。

またこのようなITシステムを導入するには使う人の理解が必要になります。今回のケースでは保育園や幼稚園の運営者の方や保育士さんがこのシステムを使わないといけません。

当たり前のようにスマホを使っている世代であればシステムを受け入れるのは問題ありませんが50代~70代で特に男性の方は新しいものを拒む傾向がありシステム導入に反対する方も多いでしょう。

こういった反対意見にどう対抗してシステムを導入させるかが大きなカギになると思います。

現在最高の既存サービス

既に日本では登園サービスがいくつもあります。この中でコドモンは私が調べている中で一番優秀なソフトではないかと感じました。

その理由の1つ目としては打刻システムがQRコード、ICカード、タッチパネルの3つから選択できる事。

2つ目としては導入事例がたくさんあるのでシステムのバグ(不具合)が少なかったり改善が速いと思われるところです。こういったシステムは導入施設が多ければ多いほどサービスの質も上がり良いものになっていく傾向があるので最も選ばれてシステムを選んで間違いはないです。

ホームページやYoutubeにも力を入れておりとても詳しい解説が載っているのでシステム導入を検討している保育園・幼稚園・自治体はチェックしてみて下さい。

まとめ

既存システムの課題は登園の有無を園児自身で確認していない点

理想的な登園システムは

  1. 園児にタグをつける。
  2. 送迎バスや園の玄関、またはクラスにはタグリーダーを設けこれで登園、降園の管理を行う。
  3. 出欠確認や園外活動の点呼もこのタグを使って園児の有無を確認する。

内閣府でこれから関係者を集め再発防止策を検討すると思いますがマニュアルの見直しやチェックの回数を多くするといった人に依存する対策ではなくシステムを使いどんな人が関わっても園児の安全を確保できる仕組みになっていく事を願っています。

そのためにも私のような技術者やシステムエンジニアにも再発防止策会議に入ってもらい様々な意見を述べてもらえれば、このような事件が二度と起きないような対策を考える事ができると思っています。

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