機械メーカーの仕事

機械メーカーの電話対応ではマニュアルに記載通りの回答をしてはいけない

会社員として働く人達は必ず電話対応をする機会があります。これはどの業界、どの職種にも当てはまります。

技術者であっても例外ではありません。

この記事では技術者の電話対応でやってはいけない事についてお伝えします。

電話対応を間違えるとお客様の会社への印象が一気に悪くなります。お客様から見るとサービスの悪い会社だなぁと思うからです。

逆に電話対応が良いと印象が良くなり技術者としての評価も上げる事ができます。

お客様からの評判が高い技術者は機械を導入する時に直接指名を受ける事もあります。この技術者が担当するなら機械を買うというお客様もいます。

そこまで言ってもらえれば会社からの技術者としての評価も上がります。

筆者がマニュアル通りの回答をしてはいけないと思った出来事

筆者がマニュアル通りの回答をしてはいけないと強く感じた出来事をお伝えします。

私が制御盤で使うタッチパネルの選定をしている時の事です。

機械の仕様で特別に制御盤内を陽圧にして異物が制御盤内に入り込まないような設計検討をしていました。いわゆる制御盤内のエアパージです。

私は制御盤のエアパージを経験した事がありませんでした。何から手をつけていいのか分からなかったのでまずは通常仕様の制御盤で使っているタッチパネルの取扱説明書を読んでいました。

取説には大気圧以上で使用すると誤動作をする恐れがありますとの記載がありました。

私は大気圧より高い圧力空気を制御盤に入れようとしていたので誤動作の可能性があるなと感じました。しかしどのくらいの圧力を掛けたらどんな誤動作が起きるか不明だった為、タッチパネルメーカーに電話しました。

誰もが知っている大手電気メーカーの技術窓口です。

ここで信じられない対応を受けました。

取説通りに使って下さいと一点張りの窓口担当者

私はメーカーの技術相談窓口に電話をして自分の懸念点を伝えました。

筆者「取説に大気圧以上で使用すると誤動作をする恐れがありますとの記載があったのですがどのくらいの圧力で誤動作が起きるのでしょうか?」

担当者「取扱説明書に記載の通りです。大気圧以上で使用すると誤動作の恐れがあります」

筆者「具体的な圧力は答えられないという事でしょうか?」

担当者「はい」

筆者「分かりました。では誤動作はどんな誤動作をする恐れがあるのでしょうか?」

担当者「分かりません。誤動作する恐れがあります」

筆者「実際にどんな誤動作が起きてるかのレポートは上がってきていないんでしょうか?」

担当者「こちらの部署では分かりかねます」

ここまでやり取りをして私はこの窓口担当者と話していても無駄だと感じ電話を諦めることにしました。

技術窓口担当者の問題点

このやり取りの中で技術窓口担当者の問題点は2つあります。

  • お客さんが何を求めているかを考えていない
  • 自分一人の知識だけで対応しようとする

お客さんが何を求めているかを考えていない

電話口の担当者は私が抱えている課題について一切聞いてくれませんでした。私は困っているので連絡をしたのにそれに興味を示してはくれませんでした。そこが一番の問題です。

技術窓口というのはお客様の相談を受ける部署です。何かの悩みを解決する為の部署であるはずなのにお客様の課題を聞きにいかないのは致命的な欠陥です。

私がなぜタッチパネルを「大気圧以上で使用するのか」を聞こうとするべきでしょう。そうすれば私が何に悩んでいるのかを理解できたはずでした。

自分一人の知識だけで対応しようとする

私との電話でのやり取りの中で窓口担当者は全て即答で答えていました。悪く言えば何も考えずに回答していたように私は感じられました。

技術窓口にはそのメーカーで扱っている様々な機器の様々な質問が舞い込んできます。その為全て一人の力で答えるのには無理があります。

また私を含めて相談者は即答を求めているわけはありません。時間が掛かってもいいから正しい答えが返ってくることを望んています。

だから自分一人で回答し誰にも相談しない態度は技術窓口としては大きな問題点です。

機械メーカーに勤める筆者が電話対応で気をつけている事

機械メーカーで現役の技術者として働いている筆者が電話対応で気をつけている事は2つあります。

  • お客様が何を求めているのかを考え続ける
  • 決して自分一人では考えない。時間が掛かっても周りにアドバイスを求める

悪い担当者とは全く逆の事を実践するようにしています。

お客様が何を求めているのかを考え続ける

電話口のお客様が「何を求めている」か考えることを最も心掛けています。何で困っていて、どうしたいのかをお客様から引き出す話をしないといけません。

例えば「○○部品の見積もりが欲しいんだけど」と掛かってきたとします。そこで部品の見積もりを後で送りますよと伝えるだけでは不十分です。

見積もりを依頼するという事はその部品が必要になったからです。必要になったという事は部品が壊れた可能性が高いです。そこのケアをしてあげる必要があります。

私であればこう答えます。「○○部品の見積もりですね。承知致しました。○○部品が必要になったという事はそちらの部品が破損したからですか?」

そうするとお客様は○○部品が必要な理由を話してくれます。壊れた可能性もありますし、予備として持っておきたいだけかもしれません。壊れた場合はなぜ壊れたのかも聞いてあげると更に親切です。

このようにしてお客様が悩んでいる事や困り事を共有しようという姿勢が大切です。

決して自分一人では考えない。時間が掛かっても周りにアドバイスを求める

もう1つ私が心掛けている事は決して自分一人で解決策を考えない事です。

技術者に掛かってくる電話の内容は様々です。一人で回答できない事も山程あります。そんな時には「一度調べさせて下さい」とお客様に伝えます。

承認してもらえば一度電話を切ってから仲間の技術者に聞きにいきます。そこで答えが出る場合がたくさんあります。お客様にとっては時間が掛かっても答えを聞きたいと思っている人が大半です。

技術相談窓口はクイズ大会ではないので時間を掛けてでも正しい答えを探る努力をします。また自分で調べたり、仲間に聞きにいった知識は自分の物となり別の機会で使えたりします。

逆に何も調べずにお客様に「分かりません」と伝えるのはお客様もがっかりしますし、自分を成長させる機会も奪っています。とっても勿体ない事なのです。

技術窓口相談は技術者の評価の場でもあり成長させるチャンス

ここまでお伝えしたように電話での技術窓口相談はお客様からの信頼を得れる場です。また技術者の知識を高めてくれる場でもあります。

まずは電話が掛かって来たときにお客様の悩みは何かを考えてみる事にしましょう。お客様によっては横柄な態度であったり、無理な事を言ってくる場合もあります。

そんな時でも「この人は困ってることがあるから電話をしてきたんだな」と優しい心を持って対応してみましょう。